16話 @過去 ページ18
Aside
6月に復帰した頃にはもうクラスでグループが出来ていて、人見知りで病弱だった私はクラスで目立っていた女子のグループに目をつけられた。
“病気移るから近づかないでくれる？w”
“サボりのくせに学校来んなよ”
“Aいないほうがみんな楽なのに”
“え、A文化祭来んの？めんどくさ…”
もう何回も言われたセリフ。
行事などで私と同じ班になった子はみんな、普通と違う私と行動するのが嫌だと露骨に面倒くさそうにした。
普通と違うのなんて、私がいちばんわかってる。
みんなの迷惑ってことも、いちばん気にしてるよ…
その時点で私の頭には【自分=足手まとい】
が、定着してしまっていた。
そこからまた入退院を何回か繰り返した。
その度に自分の弱さに負けそうになった。
普通と違う自分のことが嫌いだった。
どんなに自分のことが嫌いで辛くても、お母さんには絶対に言わなかった。
お母さんは優しいから、私がそんなこと言ったら自分のせいだって思ってしまうかもしれなかったから…
だから私は、自分のことは1人で抱えて生きていくしかないんだって思った。学校のことも病気のことも周りとの差も、全部自分が我慢すればそれでいいんだって。
高校は、またいつ入院するか分からないっていう理由をつけて進学しなかった。
もう誰にも迷惑をかけないように生きていこうって思っていた時に、健くんに出会って…
今までお母さん以外の人は絶対にしてくれなかったような優しさを、たくさん健くんからもらった。
でも…今までの酷い経験の方が大きすぎて、優しくされることの方が私にとっては未知の世界だった。
【自分=足手まとい=人に頼っちゃだめ】それが私にとっての普通だから、健くんやアナタシアのみなさんからの純粋な優しさにも全部裏があるんじゃないかとついつい疑ってしまって…
健くんは出会ってからよく、頼って欲しいって言ってくれた。でもそれは私にとっては【自分にとっての普通を壊す】行為と等しくて……なかなか出来ない。
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作者名：ねこ。 | 作成日時：2022年4月27日 15時
