大切な毎日 10 (ページ4)

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和也｢…もし次大ちゃんが脱走しようとしてたら…ちょっと考えるわ｣

謙杜｢その“次”が無いのが1番いいんですけどね…笑｣

ほんまにそう。
“次”が無いのが1番ええ。

パパに会いたいって泣かれたり駄々こねられるだけならまだええんよ。それならなんとかなるんんけど…
見てへんうちに脱走までされたら、ほんまに焦るし心配になんねん。

大ちゃんがはよ学校に慣れてくれるように、
こっちも環境を色々考えていかなあかんな。

＿＿＿＿＿

和也｢あれっ…大ちゃん！？｣

昨日謙杜先生と話しとったその“次”は、
次の日あっという間にやってきた。
5時間目の授業を始めようと教壇に立ったら、席に
大ちゃんがおらん。

今日は朝から割と情緒安定してる感じやったから、
このまま何事もなく帰せると思ったんやけど…

やられた、油断しとったら逃げられた…！

和也｢ちょっ…みんなごめん、ちょっと待っとって！！｣

空いてる先生に授業の代わりを頼んで、
いっそいで大ちゃんを探しに向かう。

校舎内におるならまだええんやけど…
外に出られたりしてたら、ほんまに危険やもん。
うちの学校は校門出てすぐの所に横断歩道もあるし、
信号見いひんまま走り抜けて車とぶつかったりしたら…？
あかん、最悪の事態しか想像つかへん…！

校内中探し回って、俺の顔はもう真っ青。
やって、校舎の中にはもう確実にいないんやもん…
てなったら、やっぱ外…！？

和也｢だいちゃーん！…っもぉ、どこ行ったん…！！｣

名前呼んで探し回っても、当然返事が返ってくることは
無いし。
そのまま校庭に飛び出したら、正門の方に何かいやーな予感。

和也「………だ、だいちゃん！？」

嫌な予感は的中。
閉まってる正門によじ登って、外に出ようとしてるちっちゃい子がおった。
そのちっちゃい子の正体は、勿論大ちゃんで…

声かけようとした瞬間
大ちゃんの手がずるっと滑って、
大ちゃんの体が一瞬宙に浮いた。

大吾「ぅわっ…！！」

和也「危ない！！！」

あかん、あんな高いとこから落ちたら…！！
大ちゃんの体が地面に叩きつけられる前に、
全力ダッシュでほぼ滑り込むようにして大ちゃんに両手を伸ばす。

大ちゃんはギリギリのとこで俺の腕におさまって、
絶対大ちゃんだけは怪我させへんように抱き締めたまま
俺の体は転がった。

和也「い……ったぁ…！！」

大吾「っっっ…っか、かずやせんせえ…っ！」