どうも、悪女の友達です。[歌い手] (ページ5)

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３話　来栖蘭湖という人間ページ5

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蘭湖には一ノ瀬彼方という許婚がいる。

彼は日本で有名な財閥の跡取り息子であり、この学園で王子様と呼ばれる9人のうちの一人でもある。
生徒会長も務めており、人望も厚い。しかもかなりのイケメンであるため女子生徒からの人気が絶大である。深い青色の眠たそうな目に、ふわふわとした髪型がよく似合う気だるげなイケメンだ。

蘭湖はそんな許婚に滅法惚れ込んでいて話の大半は一ノ瀬彼方のことである。そんな彼女、蘭湖と彼女の友人と校内にある食堂で昼食を共にする。蘭湖たちは自分の昼食を机に置き、先に座って自作の弁当を食べていた私は『遅かったから先に食べちゃってたよ～』と笑顔でむかえる。

「いつも言っておりますが、私(わたくし)がランチを買って差し上げますのに」

蘭湖は少し不平そうに私のお弁当を見る。彼女からしたら昼には冷たくなる弁当をわざわざ持ってきて食べる意味が分からないのだろう。でも仕方がない。この学校の料理は高い。一食に万札が何枚か飛んでいくのだ。そんなものを令嬢でないただの一般庶民がおいそれと食べれないし、いくら蘭湖がお金持ちの令嬢だからと奢ってもらうのは気が引ける。

『いいよ～これはこれで美味しんだから。はい、あーんして』

蘭湖は少しだけ躊躇したが素直に形のいい小さい口を開けた。まだ手を付けていなかった卵焼きを口の中に放り込み、『美味しいでしょ』と聞くと口をもぐもぐと動かしながらこくんと頷いた。卵焼きを飲み込むと一言「食べたくなったらいつでも言ってくださいまし。」と私に美しく微笑みかけた。

自分の気に入った人間にはとことん優しく、自分の気に障る人間にはとことん容赦がないのが来栖蘭湖という人間だ。