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涼しく静かな風が頬を掠める。
優しい風に揺られ、軒下に吊られている金魚の絵があしらわれた江戸風鈴が涼しげな音を鳴らす。
その音を聴きながら縁側に座り風に当たると、とても気持ちが良い。
灯りがなくとも辺りの様子がわかるくらい輝いている満月の光を浴びながら涼んでいると、縁側を歩く足音が聞こえてくる。
その足音は私の側で止まる。
足音の主の方に顔を向けると使用人の
末「坊ちゃん、そろそろ就寝のお時間ですよ。あまり夜風に当たっていてはお身体に障りますよ。」
「ん、もうそんな時間ですか。」
もう少し涼んでいたかったな、と思いながら立ち上がり後ろにある飾り硝子の入った障子を開ける。
末によって綺麗に敷かれた布団に入り、末におやすみと声を掛ける。
末「おやすみなさい、坊ちゃん。」
末が少し風が入るように障子を開けたまま、居間の方へ消えていく。
それを確認してから目を閉じる。
外から入ってくる夜風が心地よく、すぐに意識が沈み消えていく。
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心地よく寝ていると、意識を取り戻してきてやわらかな、なんとも言えない感覚に包まれる。
その感覚に浸っていると、外から物音がする。
誰かが何か頑丈なものを開けようとしているような、そんな音が。
その物音を聞き、もう朝かと思い目を開けるが辺りは真っ暗で何も見えない。
自分の体が動く感覚はある。
手を適当に動かしてみると、自分が何かの箱のようなものに入れられていることがわかった。
？？？「やべぇ、そろそろ人が来ちまうゾ。早いところ制服を……」
自分の状況を把握している途中で外から声が聞こえた。
誰かが私の入っている箱を開けようとしているみたいだ。
だが蓋が重たく苦戦しているようで、その声の主は奥の手とやらを使うようだ。
それっ！という声と同時に青い炎が目の前に現れる。
何が起きたのかわからないまま、蓋がなくなり外の様子を見ることができるようになる。
？？？「さてさて、お目当ての……って、ギャーーーーー！！！オマエ、なんでもう起きてるんだ！？」
声の主は随分可愛らしい猫のような生き物だった。
自分の記憶の中で喋る動物といえば、賢いオウムくらいである。
その猫？から視線を外して周りを見ると、ドラキュラが眠っていそうな棺が沢山浮いていた。
「おや、此処は……。」
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作者名：葱トロ | 作成日時：2022年6月25日 22時
