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前を歩くシャークんさんがノックもせずに片方の扉を開ける。ギギギと木製特有の開閉音がしたと思うと、雰囲気的に今までより遥かに開けた空間に繋がっているようだ。

1番初めに入ったシャークんさんが扉を押さえ、きりやんさんが私に部屋に入るよう促す。

失礼します、と一礼してから部屋に入った。




Aが入室した時、室内には知らない人間が2人いた。1人は長い前髪で右目が隠れた青年、もう1人は黒くサラサラな髪に涙ぼくろが1つ。そしてAに銃を向けている。




_____銃を、向けている?





Aは理解してすぐ、反射的に銃口との距離感と男が構える姿勢からなんとなくの角度を割り出し、姿勢を低くすると真反対へすべりこんだ。
直後、黒髪が放った弾丸は元々Aがいた扉にピンポイントに突き刺さる。
片足に体重をかけて踏みとどまると、その低い姿勢のまま持っていたリボルバーを男の顔面に向ける。ちょうど相手もAに焦点を合わせたところだった。



___どちらが引き金を引いてもおかしくない状況。

この広い部屋に突如緊張感が訪れる。

Aはつくづく自分の警戒心の無さを恨んだ。まさかこいつらも敵だったなんて!








数秒間の沈黙を破ったのはこの押し詰まるような雰囲気をぶち壊す場違いな声だった。


「OK合格。いいねいいね〜」


無神経に手を叩きながらこの軽い感想を述べた主は部屋の真ん中にいる片目を隠した青年である。

「え?」



思わず不平が声に出てしまうが、そんなことお構いなしに彼は話し続ける。

「今のはちょっとしたテストだよ。遠方からの狙撃を専門にしてても今くらいの奇襲には備えられないと流石に信用できないもんね、いやあ〜今ので死んじゃわなくてよかった〜!」

「はあ……………」

これで死なれたらこっちも拍子抜けだし、なんか罪悪感残るし最悪だった、だなんて手元の紅茶に角砂糖を4つ程放り込む。
こいつの言動行動全てにイライラしてきたが
その後、だって君こっちが8割悪いとしても偽物の俺に騙されて死にそうになったんでしょ?と言われて仕舞えばぐうの音も出ない。

「まあそんなしけた顔しないでよ」

片目の男はもはやほぼ角砂糖なのではないかと思える手元の紅茶を一口飲むと、にっこりと口角を上げた。


「それじゃあ改めまして!

俺ら『ワイテルズ』の拠点へようこそ!狙撃者さん」

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作者名:ボケナス | 作成日時:2021年12月23日 2時

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