居場所 ページ10
〜伏見☆Side〜
アイツ――Aを連れ帰って、
俺は今、室長と向き合っていた。
室長が、今回の依頼主――黒髪の若い男から聞いた話。
宗像「彼女は、約10年間もの間、ずっと独りで捕らわれていたようです」
――10年間
Aはそんな長い間ずっと、あんな所でずっと独りで、
ストレイン(特殊能力者)を知らない一般人に、“バケモノ”扱いされて。
宗像「彼女の持つ力は、相当大きいものと聞いています」
伏見「室長。アイツをどうする気ですか」
力の大きい者、力を充分に制御できない者、
その他、それらの厳重注意が必要なストレインは
――地下留置場で拘束
宗像「･･･そんな顔をしなくとも、彼女を拘束なんてしませんよ」
穏やかに微笑んで、室長は俺を見た。
彼女は敵意あるストレインではないから。
拘束しなくても、ちゃんと話を聞いてくれるだろうから。
そう静かに言って、室長は窓の外を見上げた。
宗像「“蝶”は誰にも縛られず、美しく自由に飛ぶものです」
眼鏡を押し上げて、俺に視線を戻した室長。
宗像「彼女が選ぶ最初の“花”になってみるのもいいかもしれません」
その言葉に、俺は少しだけ驚く。
確かに、Aの力がどうであれ、
ここにいる限り、万が一Aの力が暴走したとしても
最小限に抑えられる。
室長は続けて言った。
依頼主に、そう頼まれたのだと。
宗像「彼女はもう、帰る居場所がありません」
その言葉から受け取れる意味。
それは――“二度とあの場所に帰すつもりはない”
宗像「彼女の力がどれ程の物か、早々に見極める必要がありますね」
伏見「･･･そうですね」
適当に返すと、部屋の外から強めのノック音が響いた。
その直後、室長の入室の許可も聞かずに扉が開いた。
現れたのは、息を乱して少しだけ慌てた様子の秋山だった。
話を聞くと、Aが目を覚ましたらしい。
そして――突然泣き出したらしい。
その言葉を聞いた瞬間、俺は部屋を飛び出した。
――あぁ、そうだ。
Aは今まであんな所にずっと独りでいたんだ。
目を覚ましたら
突然知らない場所で、知らない奴がいたんだ。
不安にならないはずがない。
伏見「････チッ」
きっと
不安で怖くて、パニックになる。
Aの震えて泣く姿を思い浮かべて、少しだけ焦る。
そしてAのいる医務室へと辿り着き、扉を開ける。
そこに――Aの姿はなかった。
ただ、開いた窓から吹く風に
カーテンが静かに揺れているだけだった。
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アクア(プロフ) - 沙夜さん» ありがとうございます! その嬉しいお言葉が、頑張れる源です!(。-`ω-) (2016年3月12日 0時) (
レス) id: 73c7efff3b (このIDを非表示/違反報告)
沙夜 - 楽しく読ませてもらっています。これからも更新頑張ってください!! (2016年3月6日 23時) (レス) id: 236ae9874e (このIDを非表示/違反報告)
アクア(プロフ) - ＊*感謝リクエスト募集終了*＊ (2016年1月31日 0時) (レス) id: 73c7efff3b (このIDを非表示/違反報告)
アクア(プロフ) - 十六夜キツネさん» ありがとうございます!! これからも頑張ります(´ω｀*) (2016年1月24日 19時) (レス) id: 73c7efff3b (このIDを非表示/違反報告)
十六夜キツネ(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいております!お気に入り登録者100人突破おめでとうございます!これからも応援していますヽ(´∀‘｡)ﾉ (2016年1月19日 10時) (レス) id: cee5abaccc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アクア | 作者ホームページ：http://ameblo.jp/furanandberulove/entrylist.html
作成日時：2016年1月1日 0時
