教育係 ページ32
〜伏見☆Side〜
副長はとりあえず置いといて。
何で――俺が最後なんだよ。
あ「伏見さん･･･?」
困惑して首を傾げるAに
俺は小さく息を吐き出して、端末を返した。
伏見「･･･俺、お前の“教育係”になったから」
さらりとそう言うと、Aは更に不思議そうな顔をした。
伏見「室長に言われたんだよ」
あ「きょう、いく･･･係･･･?」
伏見「極力、お前と行動を共にし、お前の面倒をみる」
あ「伏見、さん･･･が?」
伏見「･･･俺じゃ不満なのか」
そう言うと、Aは慌てて首を横に振った。
そして
あ「伏見さんで、よかったです」
満面の笑顔で、そう言われた。
不意打ちのその笑顔と言葉に、
思わず思考が一瞬止まる。
あ「改めて、これからよろしくお願いします」
伏見「･･･あぁ」
チッ･･･うるせぇな
さっさと止まれよ。
――心臓の音
あ「伏見さん･･･?」
Aの呼びかけに、俺は気持ちを落ち着かせるために
手元の紙を一枚手に取った。
伏見「とりあえず、明日から本格的に色々と始めるぞ」
紙に書かれている今後の予定を見つめて、俺は続ける。
伏見「次の休みは、お前の健康診断と買い物に行くから」
あ「･･･?」
伏見「服とか、色々必要なモンあるだろ。それに･･･」
俺はそこで言葉を止めて、Aを見つめる。
ずっと“あんな生活”だったんだ。
体調とか･･･色々心配にもなるだろ。
伏見「お前、飯とかちゃんと食ってたのか?」
あ「あ･･･一応、出された物は･･･食べていました」
それにしては標準な体系じゃない。
全体的に細いし、歩き方も少し不安定だ。
伏見「･･･飯、ちゃんと食えよ」
･･･俺が言えることじゃないけど。
目の前の机に置かれている
缶コーヒーと栄養補助食品を一瞥しながら、
俺はそう思った。
あ「はい･･･ここのご飯、とっても美味しいです」
小さく、呟くように言った言葉に、俺は顔を上げた。
あ「あったかくて、誰かと一緒にご飯を食べれて、嬉しいです」
少しだけ切なげに、微笑みながらそう言うAに、
――胸が締め付けられる。
暗くて、窮屈なあの場所で、
Aは１人でずっと
さめた飯を食ってたのか。
伏見「･･･食堂行くぞ」
昼休憩の時間が迫る時計を見て、俺は立ち上がった。
人が多くて、うるさい食堂なんて
行きたくもないけど。
あ「食堂･･･?」
たまにはいいか。
伏見「好きなモン食え」
――Aと、一緒なら
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アクア(プロフ) - 沙夜さん» ありがとうございます! その嬉しいお言葉が、頑張れる源です!(。-`ω-) (2016年3月12日 0時) (
レス) id: 73c7efff3b (このIDを非表示/違反報告)
沙夜 - 楽しく読ませてもらっています。これからも更新頑張ってください!! (2016年3月6日 23時) (レス) id: 236ae9874e (このIDを非表示/違反報告)
アクア(プロフ) - ＊*感謝リクエスト募集終了*＊ (2016年1月31日 0時) (レス) id: 73c7efff3b (このIDを非表示/違反報告)
アクア(プロフ) - 十六夜キツネさん» ありがとうございます!! これからも頑張ります(´ω｀*) (2016年1月24日 19時) (レス) id: 73c7efff3b (このIDを非表示/違反報告)
十六夜キツネ(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいております!お気に入り登録者100人突破おめでとうございます!これからも応援していますヽ(´∀‘｡)ﾉ (2016年1月19日 10時) (レス) id: cee5abaccc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アクア | 作者ホームページ：http://ameblo.jp/furanandberulove/entrylist.html
作成日時：2016年1月1日 0時
