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Episode6 -4 ページ39
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そろそろ年末に入ろうかというこの時期に、今年一番の失敗をしてしまった。
一日中バタバタと動き回って、結局二宮くんと松本くんが最後まで私に付き合う形になった。
「はあ……」
仕事で失敗するタイプじゃなかったんだけどなぁ。
さすがに今回はへこむ。
自分の技量不足とかだったらまだこれからもっと勉強して、とか思うところだけど。
今回の原因はそうじゃないから難しい。
浮かんでくるのはただ櫻井くんの姿だけ。
頭の中はこの間のことでいっぱいで、このままじゃいつか絶対何かやらかすって思いながら仕事して数日、やっぱりやらかした。
「……さむい」
マフラーを口元まで引き上げてみたけど、冬の風は容赦なく吹き付ける。
手袋をしていても冷え切った手をさすりながら足早に自宅を目指した。
「ただいまー」
って言っても誰かの声が返ってくるわけじゃないんだけど。
母が亡くなってからうちを訪ねてくる人もいなくなったし。
スリッパに足を引っかけてリビングに入って、上着を脱ぐより先にエアコンのスイッチを入れる。
表示された室温は十一度でとりあえず見なかったことにした。
寒い寒いと呟きながら上着を脱いでハンガーラックに掛ける。
それからその横に置いてある消臭スプレーを手に取った。
部屋にも服にも使えるやつ。
香りはレモンだ。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年1月24日 21時
