Episode1 -3 ページ4
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「言うわけないでしょ、アンタらに」
呆れたような面倒そうな顔でそう言った櫻井くんに内心ちょっと落胆。
気になる男の子の初恋の話に興味ない女の子はたぶんいない。
「こら翔ちゃん、お客さんに向かってアンタなんて言わないの。それに、女の子にその口の利き方はダメだよ」
いつものように相葉さんが櫻井くんを叱る。
だけど櫻井くんは鬱陶しそうにまたチッと舌打ちをして、手元のグラスに視線を戻してしまった。
最初の頃こそ空気が冷めてしまって相葉さんがアタフタしていた櫻井くんの暴言も、最近は相葉さんもそんなに気にしていないようで、このツンデレさんめと櫻井くんをからかっては睨みつけられていた。
当の私も最初こそビクビクしていたものの、このお店に通っているうちに最初の頃のような苦手意識はすっかりなくなってしまっていて、むしろ最近はこのお店で櫻井くんがカクテルを作っているところを見ると不思議と穏やかな気持ちになれる自分がいた。
「じゃあA、初恋の続き教えてよ」
「もう…続きも何も話す気ないってば」
思い出したように私に話を振った多江ちゃんにさっきと同じような返事をしたとき、ふと相葉さんが「そうだ」と言ってぽんと櫻井くんの肩に手を置いた。
「翔ちゃんの初恋は小学校低学年のころなんだけどね」
「おい雅紀、お前勝手に何を」
「俺は会ったことないけど、その時からその子一筋なんだよね！」
ねっ！って笑いながら相葉さんが櫻井くんを見てるけど、櫻井くんの纏う空気が明らかに変わったのが目に見てわかる。
怒ってる。
櫻井くんが怒ってますよ相葉さん！
「へーそうなんだ、どんな子なの？」
「た、多江ちゃん！」
キラキラした目でためらいなく火に油注ぎに行った多江ちゃんに一人で内心あたふたしていると、今度もまた相葉さんの声が返って来た。
意外にも櫻井くんの怒鳴り声は聞こえてこない。
あれ？
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年1月24日 21時
