ねがいごとキャンディ《ars/s.s/0125》 (ページ21)

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Episode4 -2 ページ21

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ここの所何度も見た夢の中で、私は男の子と一緒にいた。

それが誰なのかもわからなかったけど、あれは悲しいほど心地の良い夢だった。

あの男の子は誰だろうと思っていたけど、悟くんと再会して今まで見ていた夢は悟くんとの夢なんじゃないかと思った。

だけど、それは違っていた。

私にいつも一緒にいた男の子なんていない。

子供心に結婚の約束をしたことだってない。

私はいつだって。

いつだって……。

ひとり、だった？

本当に……？

夢なんて起きたら忘れているもののほうが多いのに、こんなときばかり鮮明に夢で見た光景が思い浮かぶ。

得意技だった花冠を、私は、だれか、に……。

“うん。だって花純ちゃんはぼくの…”

お姫様だから。

「！」

唐突に、声が聞こえた気がした。

幼い私が聞いたはずの、幼い男の子の声を。

震える両手を祈るように握りしめる。

「だれ？」

か細い声だった。

それでも、誰にでもなく絞り出す。

「だれなの…？」

私はなにか、すごく大切なことを忘れているような、そんな気がして。

なにかぽっかりと、すごく大切だったはずのものを落っことしてきてしまったような気がして。

急に寒くなった。

冷たい冬の風がざわざわと胸を通り抜けていく。

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