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Episode3 -2 ページ15
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絵本の中のお姫様に憧れるのは全女の子に共通だと思う。
シンデレラとか白雪姫とか、いばら姫もいいかもしれない。
私だけの王子様が迎えに来てくれるって、誰でも憧れるもの。
一生懸命練習して覚えた花冠は幼い私の得意技だった。
「ねぇ、みてみて！」
編み上げた花冠を頭にかぶせて隣へと顔を向ける。
お姫様に憧れて伸ばしていた子供らしい柔らかい髪がふわりと揺れた。
「かわいいね、Aちゃん。お姫様みたい」
肩から上には強い光がさして白くなっていてそう言った子供の顔はわからなかった。
だけどたぶん、男の子。
「ぼくもできたよ」ってその子が手に持っていた何かを少女に差し出した。
ちょっと不格好だけど、少女がかぶっているのと同じ花で編まれた小さな指輪。
「わぁ…かわいい！」
「あげる」
「いいの？」
「うん。だってAちゃんはぼくの…」
男の子が何かを言っているけれど、遠くで鳴り響く目覚まし時計の音に急激に世界が遠のいていく。
やがて世界が真っ白に染まるころ、私はそっと重たい瞼を持ち上げた。
「あさ…」
部屋には明るい光が差し込んでいた。
寝ぼけたまま手で目をこすった私は、自分が泣いていることにようやく気が付いたのだった。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年1月24日 21時
