Episode2 -6 ページ12
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えっと、これはどういう状況？
自分でも「え」って言いすぎな自覚はあるんだけど、目の前の状況にいまいち頭が付いて行っていない。
ただ、目の前には同じ体制で私を見つめる櫻井くんがいて、私と櫻井くんの間にはホットのブランデーエッグノッグが所在なさげに佇んでいる。
「………」
「………」
「………」
「……あの」
「………」
「…………いただきます」
無言の圧力に押し負けて私は恐る恐るグラスに手を伸ばす。
グラス越しに温かさが伝わってきてさっきまでメールを打っていた指先がじんわりとほどけていく。
そっと一口だけ口に含んで、飲み込む。
温かいカクテルが喉を滑り落ちていくと、不思議と心の底から体が温まるような気がした。
「おいしい……」
その心地よさを求めてまた一口、もう一口とあっという間に飲み進める。
グラスが空になるころには、体の芯から温まっていて、メールを打っている間感じていた息苦しさはどこかに行ってしまっていた。
私が飲んでいる間中片時も離れることなく私を見ていた櫻井くんは、私がすべてを飲み切って頬がほころぶのを見ると、私の手からひょいとグラスを取り上げた。
「あっ」
「ちゃんと飲んだな。じゃあ、さっさと帰って寝ろ」
「えっ…」
すたすたとカウンターから出てきた櫻井くんに上着を渡されて店の外に追い出されそうになる。
「ちょ、ちょっと待ってよ」
なんとか店の中にとどまって櫻井くんを見上げると、いつもと同じクールな表情が何か言いたそうに私を見ていた。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年1月24日 21時
