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Episode6 優しい貸し ページ36
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「で、なんでお前はいつにもましてポンコツなわけ？」
「ポンコツって、いつもはポンコツじゃないよ…」
「そうか？」
「っていうか今ポンコツなのは否定しないんすね瀬那先輩」
「……すみません」
「謝る暇あんなら仕事しろ」
いつにもまして辛口の二宮くんと、それを相変わらず止めてくれない松本くんは私の両隣の席を占領して資料とにらめっこ。
頭を動かしながら口も動かせるんだからこの人たちはすごい。
というか松本くんもさらりとポンコツ認定してない？
いや、そうじゃなくて。
「とりあえず貸し一な」
「あ、俺も貸しで」
「……必ずお返しします」
小さく縮こまりながらもなんだかんだと手を貸してくれる二人に私は頭が上がらない。
同期の二宮くんと、後輩の松本くんは賢い人で、私と違ってあれこれとそつなくこなす優秀さんだ。
私たち三人以外誰もいなくなった事務所はがらんとしていて少し寒く感じる。
肩を落としたまま資料を手に取ろう…として、うっかりコーヒーを入れていた紙コップに手が当たってしまった。
「あー！！」
「ばっかやろ…っ」
「大丈夫！大丈夫っすよ二人とも！」
ただ叫ぶことしかできないポンコツ先輩二人に対し至極冷静に「中身入ってませんから」と素早く紙コップを拾い上げる松本くん。
さすが、できる男は違う。
「………はあ」
「まぁまぁ、二宮先輩落ち着いて」
今日何度目かの大きなため息をついた二宮くんが私の手から紙の束を奪い取った。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年1月24日 21時
