Episode13 隣にいる資格 ページ37
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「そうして翔ちゃんは俺のところに来た。魔法のキャンディで幼馴染の記憶から自分だけを消して、彼女を助けるために父親を殺してきたって。これから警察に行くところだって」
「……警察」
「当然。翔ちゃん、最初から逃げるつもりなんてなかったんだよ」
それから翔がどうなったかと言えば、それは大体想像がつくと思うけど。
出所する翔を迎えに行った相葉さんは嫌がる翔を無理やりKIWIで働かせることにしたのだそうだ。
「どっか遠くへ行くって聞かなかったんだけどさ、その幼馴染の彼女が笑顔で過ごしてるかどうかくらい見て行ったらって言って引き留めたんだ。この街にいれば君の様子を確認できるかもしれないからって。そしたら店に来るもんだからホント驚いたよ」
困ったように相葉さんは笑う。
「運命ってやつかもね」
「運命…？」
「そう。君と翔ちゃんは離れられない運命なんだよ。だから神様が、途切れそうだった二人の運命を結びなおそうとしてるんじゃないかな……俺としてはそう思って、翔ちゃんに何度も言ったんだよ。君に本当のことを話すべきだって」
だけどダメだった。
と相葉さんは軽い声であきらめたように言った。
「自分にはもう君の傍にいる資格はないから絶対に正体は明かさないって、聞かなくて。でも…君がお店に来るたびに翔ちゃんは君からはなれなきゃって思ってたみたいだけど、それでもお店を出ていくことはできなかったみたい。どうしてかわかる？」
相葉さんが私の顔をのぞき込む。
その表情が優しいのはきっと、翔のことを考えているからかもしれない。
私にはわからないけれど、相葉さんが翔に向ける想いはとても大きくて、温かなものなんだろうと想像ができた。
「……わたし、ですか？」
だからそう答えた。
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作者名：iCHiKA
| 作成日時：2020年2月6日 21時
