ねがいごとキャンディ ○2○ 《ars/s.s/0125》 (ページ31)

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Episode12 僕らの話ページ31

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たかが二歳、されど二歳。

子供にとっての二歳は小さいようでいて決して小さくはない。

私が入学した高校にわざわざ入学してきた翔と一緒に送れた高校生活はたった一年だけだった。

ある日の授業中、派手な音を立てて保健室の扉が乱暴に開かれたものだから、私と養護教諭の先生はびっくりして扉の方を振り返った。

そこには無表情で私たちを見つめる翔がいて、私の姿を見つけるとずかずかと入り込んできた。

「ちょっと櫻井くん」

「A、倒れたって聞いた」

「ちょっとボールが当たっただけだよ。それより翔、授業は？」

「あんなん受けててもしょうがないから抜けてきた。お前の方が大事」

「ありがたいけど、授業はちゃんと受けなよ」

「お前が倒れたって聞いて授業なんか聞いてられるか」

「もう……」

先生はあっけにとられていたけれどこんな会話は私たちにとって日常茶飯事で、翔が私に過保護なのは今に始まったことではない。

昔は私よりずっと小さかった背もすっかり伸びて、今では私より十センチ以上高い。

見下ろして撫でていた頭は今では背伸びをしないと届かなくなってしまった。

「先生、Aはもう大丈夫なの」

「……大丈夫よ。軽い脳震盪だし、もう歩けるから授業に、ちょっと櫻井くん！」

皆まで聞かずに翔は私の手を引いてベッドから引きはがす。

翔に抱き留められるように床に降りた私は上履きをつっかけて引きずられるように保健室を出た。

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