ねがいごとキャンディ ○2○ 《ars/s.s/0125》 (ページ6)

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Episode8 -6 ページ6

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冷たい風が容赦なく体にぶつかる。

ストラップの付いていない少しだけかかとのあるオフィスシューズは走りづらくて、途中で片方が脱げてしまった。

これじゃまるでシンデレラだなって思いながら、もう片方の靴も脱ぐ。

このほうが走りやすい。

「はぁっ…はっ……」

櫻井くんの姿を見つけたのは近くの公園の中だった。

誰もいない公園で、彼がキャンディを食べようとしているのがわかって、あわてて大声を出す。

「待って！櫻井くん！」

「！」

ハッとこちらを振り返った櫻井くんが、あわててキャンディを口に入れる。

怪我をするかもしれないと気にすることもなく、私はためらいなく公園を囲む花壇を突っ切る。

チクリと足の裏が痛んだことに、この時は気づく余裕すらなかった。

「……っ……ねがいごとキャンディ、頼む。もう一度……」

「やめて！」

「もう一度、あいつの中から……俺を……」

ふと、櫻井くんと目があった。

私を見る櫻井くんの目が揺れて一瞬だけ何かをためらうように動きを止める。

その瞬間、私は無我夢中で櫻井くんに飛びついた。

大きく目を開いた櫻井くんが慌てたように口を動かす。

「Aの中から俺を消してくれ！」

夜の公園に櫻井くんの叫ぶような声が響いた。

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