ハイタッチ

【ほくと】おもいでのぴあの ページ26

side 北斗

きれいなピアノの音で目がさめた。


たいががしゅじゅつをしてからずっときけていなかったピアノ。


久しぶりにきけてうれしいけど、ママを思い出してちょっぴりかなしくなる。



ママはピアノがだいすきでよくいっしょに弾いてくれた。


でも、ママはもういない。



ママのピアノがだいすきだったのに、


ママとピアノが弾きたいのに、


ママに会いたいのに、



どんなにおねがいしても、ママはもういないんだ。




ジェ「ほくちゃん！たいがのとこ、いかない？」



ジェシーのげんきな声にこぼれそうになったなみだを目をこすってかくす。



北「うん…！いく！」



とげんきよくへんじをして、


まだねているじゅりをおいたまま、


しんたろーとジェシーといっしょにたいがのとこへ向かった。





ピアノの上のたいがの白いゆびはまるでおどってるみたいだった。



たいがのピアノの音も、

弾いているたいがも、

ぜんぶきれい。



そうやってたいがのピアノをきいていると、いつのまにかじゅりも起きてきたみたいだった。


じゅりに気づいて弾くのをやめたたいがに、


"もうすこしだけ"とおねだり。




そんなほくのおねだりにたいがは笑って

またピアノを弾きはじめた。






その曲は…




ママがだいすきだった


よくいっしょに弾いてくれた


ほくもだいすきなあの曲。



だいすきな曲のはずなのになんだかギューッと息がでになくなって



ヒュ……ケホッ…げほっ…ヒュ-…ハァっ…ハァッ……ケホッ…

ハァっ…ハァッ……ケホッ…ケホッ…ヒュ…ゲホッ…



くるしくてくるしくてだんだんピアノの音がちいさくなっていった。

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