【65】自制 ページ17
｢わたしも、今日はもう授業がないからゆっくりできるよ｣
お茶の用意をしながら、ルーピンが言った。
授業のときよりも、声が弾んでいるような気がした。
｢さて、一昨日ぶりだねA。何があったか聞いてもいいかな？｣
すっかり定位置になったソファにちょこんと座っているAに紅茶を差し出して、ルーピンは話しかけた。
一日空いただけの近況報告はあまり意味のないように思えたが、ルーピンが嬉々として聞きたがっているので、Aは一昨日ルーピンと夕食の席で別れたときまで記憶を遡り、時系列順に思い出しながら話していった。
｢別に大したことはないですよ。……そうですね、一昨日の夜にスネイプ……先生のところに行って、毎週火木は補習だって言い渡されました｣
呼び捨てにしたとき、ルーピンの笑顔が若干黒くなったので、慌てて”先生”をつけた。
｢授業に出ろとは言わなかったんだね？｣
｢それは私も思って、言いました。でも、なんかいいらしいです｣
Aは曖昧に受け答えた。
ルーピンはふうん、となぜだか不満そうだった。
｢…………セブルスも気を遣ったりするんだな｣
｢なにか言いました？｣
いや、とルーピンははぐらかし、続きを促した。
スネイプからの宣告の後に、夜中に偶然に出くわしたシリウスにグリフィンドール寮まで送ってもらったが、なんとなくそれは言わないでおいた。
｢昨日は1・2時間目の魔法史は出なかったんですけど、それ以降のマグル学と呪文学は出ました｣
｢やるじゃないか！快進だね！｣
ルーピンは咄嗟にAの頭のほうへ手を伸ばしたが、律したみたいにぎこちなく手を下げた。
｢…………撫でてもいいんですよ？｣
照れを隠すため茶化すような口調で言ったが、結局Aは恥ずかしくなって後悔した。
しかし、ルーピンは安らかな笑顔を見せ、躊躇いながらもAの頭を撫でた。
｢……それじゃあ遠慮なく｣
まるで人の頭を撫でるのは初めてかのように、控えめで優しかったので、Aはくすぐったさに笑いがこぼれた。
｢ふふ｣
気持ちよさそうに目を閉じて笑うAを見詰めているルーピンは、笑顔ではあったが、何かを制しているような、すこし苦しげな顔をしていた。
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ココ - とても面白かったです(≧〜≦)) (2018年12月8日 17時) (
レス) id: b9c23439f9 (このIDを非表示/違反報告)
朝比奈(プロフ) - とても面白いです^_^更新楽しみにしてます^_^ (2018年5月24日 17時) (レス) id: ebaf376ead (このIDを非表示/違反報告)
花吹雪 - 霧崎さん» 恐るべし、セブルス・スネイプ…… (2018年2月28日 6時) (レス) id: 0d387c6cdc (このIDを非表示/違反報告)
霧崎(プロフ) - 花吹雪さん» セブルス・スネイプだから許される奇行ですね…… (2018年2月26日 23時) (レス) id: 6ee8c035df (このIDを非表示/違反報告)
花吹雪 - 霧崎さん» 確かに……笑自分の教師がそんなことしてたら普通に引くわ笑 (2018年2月26日 22時) (レス) id: 0d387c6cdc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霧崎 | 作成日時：2018年2月19日 20時
