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「やっとあったかくなってきましたね」
「せやなぁ。」
終業式の日。
いつも通り、先生は中庭にいた。
「うちの学校、松だけじゃなくて桜もきれいなんですよ。 この感じだと、入学式ピークかも！
この中庭からは残念ながら見えませんけど、
でも、お花見、できたらいいなぁ」
「…………せやな」
そう答える、先生の目線はどこにあったんだろう。
目線は合わなかった。
「…A、これ」
先生の手には、コーヒーとココア。
2つの缶から、ココアの方を私に、渡してくれた。
「珍しい。ココアだ。」
実は、私がココアよりも、コーヒーの方がよく飲むことを知ってから、いつもくれるのは先生とお揃いのコーヒーだった。
「どうしたんですか？」
「いや、あったから買ってみただけ」
だから、ココアを飲むのは、あの時ぶり。
「たまには、いいですね。いただきまーす」
プルタブを開けて、ココアを飲む。
先生がこうやって飲み物を買って渡してくれるのは、普通のことで。
渡されたのがただ、コーヒーじゃなくて、たまたまココアだっただけの、かわらないことだから。
ただ、それだけだったから、
私は、あの日飲んだココアの味を思い出せない。
やっと訪れた春の陽気に浮き足立った私は、先生の返事の妙な間の意味にも、交わらない視線にも、ココアをくれた意味にも。
何にも、気づかなかった。
馬鹿だなぁ、って今なら思うよ。
なんでおかしことだって、それがかわったことだと思わなかったんだろう、って。
でも、その時は、かわらないことだったから。
二人のいつものことだったから。
新学期。
始業式にも、離退任式にも、
先生は、どこにもいなかった。
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ゆゆこ(プロフ) - かさねさん» かさねさん、ありがとうございます｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡かさねさんの言葉が大好きなので、ほんとにほんとに嬉しいお言葉です。裏はー…脳内補填でお願いします（笑） (2017年12月3日 9時) (
レス) id: 6f90bbdfe5 (このIDを非表示/違反報告)
かさね(プロフ) - 完結お疲れ様です。わたし今泣いてる（心で）。ゆゆこさんの言葉のチョイスすごく好きです。裏待ってる（≧∇≦） (2017年12月2日 21時) (レス) id: e9dff60579 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆこ(プロフ) - まろりー。さん» こんな甘くないですが先生に恋焦がれあっさり撃沈した私がお送りいまします(苦笑) ありがとうございます！！そのお言葉が嬉しいです｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡ (2017年11月26日 22時) (レス) id: 6f90bbdfe5 (このIDを非表示/違反報告)
まろりー。(プロフ) - 瑞々しい！なんかこう、甘い懐かしい感じの時代を思い出します。（こんな素敵な先生はいなかったけれど！）続き、楽しみにしてますよー(*´∇｀*) (2017年11月26日 10時) (レス) id: bdf5b4a919 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆこ(プロフ) - かさねさん» ほんとにほんとにお恥ずかしい限りです……！こちらこそありがとうございます｡･ﾟ(ﾟ⊃ω⊂ﾟ)ﾟ･学生時代ってどんなんだっけと記憶を辿ってますよ… (2017年11月23日 8時) (レス) id: 6f90bbdfe5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆゆこ | 作成日時：2017年11月4日 8時
