これで僕だけのモノ Ink ページ1
ずっと我慢していた。
僕はAUの守護者だから。
AUを守らなくてはいけない存在だから。
だから――誰かを殺したいだなんて、思っちゃいけないんだって。
そう考えることで、僕はいつも平静を繕ってきた。
例え、大好きなAちゃんが僕以外の奴と話してても。
Aちゃんが、他の奴と遊びに行っても。
僕が、Aちゃんと話した奴らに殺意を抱いたとしても……
「ずっと、我慢してきたよ……でもさ、」
我慢することに意味はないってことに気づいたのは、いつだろうか。
だって、僕があいつらを殺したとしても、だ。
それで
そう考えついた僕でも、じゃあ早速やろう、だなんてことはできなかった。
まだ、最低限の理性は残っていた。
もし、本当にあいつらを殺したとしたら、Aちゃんにどんな顔を向ければいいんだろう？
そんな思いが、さっきの考えを食い止めていた。
でも、そんなのは単なる時間稼ぎにすぎなかった。
その考えは、僕の理性という名の堤防を越えてしまったのだ。
「やっぱり、Aちゃんを誰かにとられるなんていやだからさ」
辺りには血の海が広がっている。
その中心には、殺したくて殺したくて仕方なかったあいつらと、返り血にまみれた僕。
守護者らしからぬことをしてしまったけど、気分は妙に清々しい。
「Aちゃんにはどんな顔を見せればいいんだろう」
あはは、と笑い声が漏れる。
あんなに悩んでいたことなのに、今ではそんなの些細な事だった。
そんなことよりも、今はもっと大切なことがあるじゃないか。
「これで、Aちゃんは僕だけのモノになったんだ……♡」
僕には、この事実だけで十分だった。
AUも守護者も、今だけはどうでもよかった。
「大好きだよ、Aちゃん……」
血塗られた舞台で、僕だけが笑っていた。
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