伝 え た い 。(参) 【鬼滅の刃】

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家に帰って、ノートにメモしてあるレシピ通りに
作るじゃん？


肉に塩胡椒パッパッてして、小麦粉まぶしてパンパンって
余分な粉落として、卵水にバシャーってして、
パン粉をギュムギュムして…


ここまでは超順調だったの。怖いほどに。
で、だよ？肉を油の入れた鍋に投入するじゃん。


何故か鍋からメラメラと火柱(ひばしら)あがってるじゃん。
ほんとに何で？？？温度高すぎた？


…とにかく、消火しなきゃ！！！
落ち着いてここは冷静に水の呼吸しよう！水の呼吸！！




『水の呼吸！捌ノ型！！滝壷ぉおおおおうわぁぁ！？』




湯呑みに並々と注(そそ)いだ水を火に向かってかけると、
火柱は勢いを増してさらにメラメラと燃え上がった。

捌ノ型！！とか言ってる場合じゃなかったわ。




『やばいやばいやばい！どうしよう！！』




オロオロしてる間に、幸いにも火柱の勢いは
落ち着いて火は消えた。


鍋から救出されたのは、つい先程まで肉だったはずの
小さな炭の塊が3つ…。
台所は油まみれの水浸しだし、とんだ災難だ！




『さ、最悪すぎる……』


「何この焦げたような……火事？」


『ぎゃぁぁ！！無一郎くん！？" ただいま "くらい
言ってくだせぇ！！吃驚(びっくり)したぁ！』




物音なく真後ろに立っていた無一郎くんに吃驚しすぎて
ついつい謎の江戸っ子口調になってしまった。




「何か燃えたの？屋敷から煙出てたよ。怪我はない？」


『煙？さて、何のことでしょう？幻覚じゃないですか？』


「それじゃあ、なんでこんなに水浸しになってるの？
消火してたんでしょ」


『そ、掃除してただけです〜』



そそくさと鍋や包丁を片付けようとしたら、
無一郎くんが近付いてきてお皿から炭の塊を1つ持った。




「……何これ？」


『肉…だったものですけど』




無一郎くんは「ふーん」と短く返事をすると、
その炭の塊を口に含んだ。




『何してんの！？やめた方がいいって！！』




少し顔をしかめながらも、無一郎くんは炭の塊を
次々と口に含んで 咀嚼(そしゃく)し飲み込んだ__




『だ、大丈夫なの…？』


「……不味(まず)い。食えたもんじゃないね」


『だから、やめた方がいいって言ったのに！』


「風呂入ってくる。なんだかここ、嫌な空気が
充満してて気持ち悪いし」




そう言い残し、台所を出て行ってしまった。
…やっぱり、何考えてるのかよく分からない人だ。



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