伝 え た い 。(参) 【鬼滅の刃】

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「Aさんの亡霊…！？」




前田さんは私を見るなり、顔を青ざめさせた。
亡霊って失礼な！！！




『ちゃんと生きてますから！！』


「確認してもいいですか？」




確認…？

よく分からないまま、『どうぞ』と言ったら
ぎゅっと手を握られた。




『え" っ』


「Aさんの手、ほんのり温かいですね。
…ということは、このAさんは亡霊ではなく
紛(まぎ)れもなく本物……」


『ひぇっ…』




前田さんの気持ち悪い言動に固まっている私に
代わって、後藤さんが前田さんの後頭部を叩いたので
握った手は離された。




「何ですか？私はただ生存確認を行っていただけ
ですが？もしかして嫉妬ですか？見苦しいですよ」


「時透様にチクるぞ」




後藤さんの脅(おど)しに前田さんは血相を変えて
「やめてくださいｯ！！」と叫んだ。


無一郎くんって、すごく恐れられてるんだなぁ…。
確かに、無言の圧とかめちゃくちゃ怖いもんな。




「それはそうと、Aさん。今度 鰻(うなぎ)でも食べに
行きませんか？快気祝いという事で」


『前田さんと2人きりでですか？』


「もちろんです」




前田さんはメガネを光らせた。
何この人。さっき脅されたばかりなのにメンタル
強すぎでしょ。




『遠慮しておきます』


「えぇっ！？そんなっ！！！下心なんて無いですよ！？」


『目が、変態の目をしてます』


「何ですかそれ！？」




私と前田さんが鰻を食べに行く行かないで言い争って
いると、後藤さんが呆れたように深いため息をついた。




「ゲスメガネ、しつこいぞ」


「貴方は黙ってて下さい。22歳独身のくせに」


「お前も独身だろ」


「私は好きで独身でいるんですが？」


「俺だってそうだが？今は仕事一筋だし」


「強がってるのが丸分かりですよ」


「は？お前だって、声震えてるじゃねぇか」




今度は、前田さんと後藤さんで言い争いが始まった。
しかも、世界一どうでもいい言い争い。


2人の争いを、ぼーっと眺めていると
後ろの方から怒鳴り声が聞こえてきて思わず肩が
ビクッと跳ね上がった。




「前田って奴はどいつだァ！？」




声の主は、拳(こぶし)をバキバキと鳴らしながら
辺りにいる縫製係を見渡した。


一方、前田さんはものすごい量の汗を
ダラダラと流して体を震わせていた…。



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