だって私は王族よ？【アダム=ユーリエフ】

崩れた ページ45

どうして私はこの人には素直になれないのか。

そんなこと、とうの昔から知っている。

だから、巻き込みたくない。

「もし、私がヴェルダン伯爵に負けて、あの子達を守れなかったら、貴方に……託してもいいかしら」

アダム「…あの子達とは誰だ」

助けて欲しい

その言葉を一生懸命に、飲み込んだ。

「…私が負けたらの話よ。まだ貴方は知らない方がいい」

そう、これでいい。

そう思ってたのに……

「っ？！」

私は背後から誰かに抱きしめられた。

「は…なし、なさい」

暖かく、優しいその手を早くはなして。

アダム「…どうして。何も言ってくれない」

やめて

「あなたには…関係のない、こと、だから」

これ以上、私を弱くしないで

助けて
そう叫ぶ心を何度も殺してきたはずなのに

アダム「関係なんて言うな。俺は、お前が苦しむ顔を見たくない」

「っ…！！」

誰からも言われたことのない、暖かな言葉に私の中で何かが崩れてしまった音がした。

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