共依存のなりの果て《skt》 ページ5
「あ、A!なんで先に帰ろうとしてんの!」
「…んー?ごめんごめん、さかたん待つの面倒くさくてさぁ〜」
「1人で帰るんは危ない言うたやんかぁ〜、も〜う!」
ぷりぷりしながら怒っているが、実際のところ全然怖くない。
些かさかたんは過保護過ぎるのだ。
「1人じゃ靴も取れへんやろ?靴箱高いんやから」
「いや、自分でも取ろうと思えば取れるし……」
「そんなこと言わんと、俺が取ったるから」
確かに靴箱が高いため、少し背伸びをしなければ取れないが、背伸びをすればいいだけのことだ。
そこまで不便さはない。
が、なぜかさかたんは毎日取ってくれる。
「…チッ…………3枚ねぇ」
「ん?なに、どうしたの?」
何かさかたんの呟きが聞こえたため、彼の表情を窺うと、眉根を寄せて手紙を睨んでいた。
「あー、ちょっとな、A宛の手紙が入っててん」
「え、じゃあ見なきゃ。早くちょうだいよ」
自分宛だと聞き、彼から手紙を受け取ろうとすると、さかたんは手紙をくしゃっと曲げ、ゴミ箱に投げた。
「ちょ、何してんの!」
「…いやさ、ちょっと内容が見えたんやけど……Aにとってあんま良くないことが書かれてたんよねぇ」
「え!?嫌がらせ、ってこと…?」
「んー、まぁそんな感じ。そういうもんは、処分せんとやん?」
「う、うん……」
「ほな、行こか。……大丈夫やで、Aには俺がついてんねんから」
彼の表情がいつもと違う気もしたが、嫌がらせを受けたという恐怖心が勝り、彼に連れられて校舎を出た。
*****
はー、ガチ意味わからんのやけど。
俺の彼女に手ぇ出すとか何様なん?…ま、書かれてた名前辿って、明日しばいたるけど。
それにしても、Aはかわええなぁ……俺が裏でこんなことしてるとか、知らへんのやもん。
かわいいかわいい俺のA。明日、俺がAにたかる害虫を3匹、退治しちゃるからな♥
口元に薄い笑みを浮かべながら、Aの背中に腕を回した。
*****
「ふんふふーん♪」
今日は久しぶりに人気のパンが買えたため、るんるん気分で教室へ向かっていると、空き教室の方から、何やら話し声が聞こえてきた。
『__っ!___先輩、もっ、やめて下さっ___!』
『_なんでも、し、ます、から__!』
「!!」
聞こえた内容と、誰かが殴られたような音に驚き、急いで空き教室に向かうと、そこには信じられない姿の彼氏が立っていた。
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作者名:フェレットみたらし団子 | 作成日時:2022年8月15日 19時