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足の痛みに気付いてくれた喜びと、お姫様抱っこされた羞恥心がごちゃ混ぜになって、頬が真っ赤に染まった。
観客席からも騒めきが聞こえ、恥ずかしすぎて志麻の胸に顔を埋める。
すると、志麻の鼓動もいつもより速くなっていて、自分と同じ気持ちなんだと気が付いた。
「……志麻志麻」
「…なに？今、一応本番中やねんけど？」
ポーカーフェイスのまま小声で話す彼に悪戯をしてみたくて、耳元でそっと囁く。
「さっきはありがとう。…愛してるよ？」
「…！？」
一瞬狼狽えた後、またポーカーフェイスに戻る様子が面白くて、私まで笑顔になった。
『20XX年、第65回、ミスコンの優勝者は＿＿＿＿＿_12番、志麻&Aペアーー！』
会場中に私達を祝福する声が響き渡る。
本当に優勝できたのか実感がわかず、志麻のほうを向くと、満面の笑みで私に飛びついてきた。
「Aーー！！俺ら優勝したんやで！一緒に出れて、良かったやろ？」
「うん…！志麻と一緒に出れて良かった！」
『えーと、まず、なぜ2人で出場されることにしたのか、聞かせて頂いてもよろしいですかー？』
司会者さんが、志麻へとマイクを渡す。
すると、志麻は私と恋人繋ぎをしながら話し始めた。
《えーと、皆さんは、このミスコンのジンクスを知っていますか？》
そこまで言うと、私に聞かせるように続ける。
《このミスコンで優勝したカップルは、永遠に結ばれる。俺は、このジンクスを果たしたくて、出場しました》
「…！」
初めて聞くジンクスと、志麻があんなにも出場したがっていた理由を知り、頬がたちまち赤く染まる。
《えと、ちょっとクサいかもしれないけど、言わせて下さい》
そこでマイクを司会者さんに返し、私の目の前に跪いた。
「俺は、Aの少し口下手なところが好き。でも、口下手なくせに大胆なことをするときもあって、いつも愛しいなって感じる。俺は、Aの笑顔が好き。俺は、Aの全部が好き」
「……うん」
「俺は一生Aを愛することを誓います。だから、俺のために、君の薬指を空けておいてくれませんか…！」
そう言いながら、志麻は私の薬指に軽く触れる。
薬指に伝わる彼の体温に幸せを感じて、たった一つの答えを告げるために、口を開いた。
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最後のセリフは、うらたぬき様のニューアルバムにある歌詞を参考にさせて頂きました。
予めご了承ください。
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作者名：フェレットみたらし団子 | 作成日時：2022年8月15日 19時
