どの手を掴むかは自分次第。 (ページ7)

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ar side ページ7

カランコロン

パンパンパン

二つの音が順に響く。
先についた彼らがならしたのだろう。
ざわざわと木々が蠢く。刹那、あたりが暗闇に包まれた。
暗闇が明けた途端にここにいちゃいけない気がした。
言葉にできないが心臓を何かに握られているような。そんな感覚だ
前方から知念といのちゃんが走ってくる

「みんな、急いで！！ここから出るよ！！ "逾樊ｧ"がくる」

最後の言葉が聞き取れなかったが、ようはここにいるとやばいということだ。
反射的に足が動き出し来た道を戻る。突然先頭で走っていた裕翔と山田の足が止まる。階段に集中しすぎて気づかなかったがあたりは木々に囲まれており階段の段差が見えない。限りなく危ない。暗闇の中ここをダッシュで下るのはまず不可能である。

「スマホの光があるだろ！俺らが照らしながら行くから突っ込め！！」

高身長かつ最年長でほぼ最後尾を走る2人が上からスマホのライトを掲げ階段を照らしてくれている。
これなら進める。
転ぶのを覚悟でそのまま突っ込む。
バタバタと急速に階段を下る音が鳴り渡る。あとちょっとで着く。
ふっと視界が翳った。

シャランシャラン

風がならしたのだろうか距離があっても響き通る鈴の音。
ゾワっとした何かがきた。
それですら無視して階段を下り切って鳥居をくぐる。
鳥居をくぐった瞬間に謎の感覚から解放される。
下って気づいた。普段の汗と違う汗が大量に出ていたことに。下ってきた階段が底なしの沼のように暗くなっていたことに。自分が想像以上に疲れていたことに。
最後に高木と薮ちゃんが階段を下り切りこれで全員揃った。その瞬間の安堵はこれまで経験したことがないようなものだった。

みんなの息が整うまで待ってそして旅館に戻ろうと誰も声を発さずに行動をした。