ar side ページ4
車に荷物を詰め乗り込もうとしたときに裕翔から発されたこの一言。今日は遅いからこの辺の旅館に泊まっていく予定であったとはいえなぜこのタイミングで探検になったのだろうか。楽しそうに聞いてきた裕翔には悪いが反対しておこう。そう思い口を開いた。が、俺よりも尚のこと早く発言した人がいた
「いいじゃん。行こ行こ」
正直驚いた。あまり探検などに行くイメージのない、いのちゃんが誰よりも早く賛同したのである。
これには発案者の裕翔も一瞬驚愕していた。
「ここら辺は今後こないだろうしさ、ちょっと探索していくものアリじゃない?」
いのちゃんのこの言い分を聞いて感情がポンと弾け飛んだ。
だって、彼がこんなにも楽しそうに語る時はテンションが高い時だ。きっと思い出作りでもしようと考えてだろう。そんな彼に言われてしまえば、行かない以外の選択肢は俺の中からなくなる。
「そうだね。行こうよ!」
俺が大きな声で言えばまぁいいかと賛同し始めるメンバー達。結局はこの人たちもノリがいいのだ。
賛同者が増える度に嬉々とした瞳になっていく裕翔。裕翔の頭に三角が、背後にブンブンと触れそうな何かが見えた気がする。ほんとに犬みたいな人なんだと思う。スタッフさんに全員で少しここら辺を探検してくると伝えれば、あまり遅くならないでくださいねと返事が返ってくる。いや、俺たちは子供かよ。とツッコまなかった俺は偉いと思う。
スタッフさん達にも了解を得たところで探検という名のお散歩を開始する。
今日泊まる旅館は幸いにもここから近く歩いて行ける距離にあった。
なのでお散歩したらまっすぐ旅館にいことにした。
何も考えずにぶらぶらと道を歩き、坂を登って下って。都会ではあまり見かけないものにいちいちみんなで反応して。それはそれは楽しい一時。
「あ!ここ川だ!!透明度高!!」
「ほんとだ、綺麗!」
橋から身を乗り出し下にある川を眺めると裕翔とそれに乗っかり身を乗り出す山田。
側から見ればこれはいい歳の男性8人がまるで小学校の遠足のようにはしゃいでいるようにも見えただろう。
それほどまでにキャッキャとはしゃぎ続けること1時間と何分か。そろそろ陽が地平線に差し掛かり帰ろうか、と意見がまとまった時だった。
「あ、神社」
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作者名:悠璃 | 作成日時:2024年1月21日 12時