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人間、誰しもに適した睡眠時間がある。
6〜8時間の人が基準値で、5時間未満はショートスリーパー。10時間以上でロングスリーパー。
当たり前であるが、それらの個性を尊重することは非常に大切である。
しかし、だ。
僕は今そのことに関して不満たらたらである。

「本当に今何時だと思ってんの」

テレビのドッキリでもないのに良質な睡眠を妨げられた。
別に起こされたことはいいのだが問題は現在時刻にある。

午前2時。

所謂深夜。
昨日は午後8時くらいに旅館につき速攻布団に潜っての深夜2時であるから睡眠時間としては6時間は寝ている。
このことは問題ないのだが、何故深夜に叩き起こされなければならないのだろうか。
結構な剣幕で宏太に起こされそれから他のメンバーが起きてくるまで待つこと30分。
僕は割とすんなり起きたのだが残った人たちはなかなか布団から出てこなかったらしい。
集合するまでゆうやと二人っきりで僕が口を尖らせていたからか困ったような笑顔をしていた。

それからダラダラと集まったメンバーたちに宏太が向き直った時に発したのが冒頭の言葉である。

「深夜に起こしたのは悪かった。」
「こんな時間にみんな起こしてるんだからなんかあったんでしょ?ちゃんとした理由じゃなきゃ許さないから。それといのちゃんと大貴は?どこ?まだ寝てるの?」
「あー、そのことで起こした。」

この部屋にいるのは何度数えても僕を含めて6人。元気印とキノコヘッドの二つが見えなかった。
思ったままに問えばやけに改まってこちらを見据える宏太。

「回りくどい言い方してもあれだから単刀直入にいうぞ、伊野尾が消えた。」

ざわっとした感覚。一度言葉を切った宏太が最後口を開けて話し始めたのは半ば得ていた僕の脳を活性化させるには十分のものであった。

聞くに、
いのちゃんがこの旅館に来てないこと。
下手すると昨日の神社にまだいるかもしれないこと。
周辺をスタッフさんや宏太が先ほどまで捜索していたこと。
僕らより前に起きた大貴が状況を聞いていのちゃんが危ないと思い神社に一人で向かったこと。

重要な部分をまとめると以上の四つであった。
要するにあの変な神社にいのちゃんが取り残されてるかもしれないから大貴が一人で助けに行った。
ということである。

「起きたばっかでごめん。でも人手が足りないから二人の捜索を手伝って欲しい。」

宏太から発された言葉はあくまで想定内でそれを断る人なんてここにはいなかった。

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作者名:悠璃 | 作成日時:2024年1月21日 12時

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