ar side ページ22
一応ここから出られなくなると言うホラー展開を現在進行形で経験しているのだがそうとは思わせないほどににぎやかである。
それはそうとてここの出方はおそらく俺は知っている。あの女の子が言っていたことがもし本当なら、ではあるが
「多分だけど、手、みんなで繋いでいけば帰れるよ」
は?と7人のユニゾンを綺麗に食らったところで始まる質問攻め。
「根拠は?」
「ない。強いて言うなら…やっぱない。」
「確証は?」
「ない。あるわけない。」
「それをやってリスクは?」
「ない。多分ない。」
「じゃあやるしかないよね。ものは試し。色々やって脱出しますか」
「え、やるの?」
「大ちゃんがやろうって言ったのにやらないわけなくない?いのちゃんの言うとおり試して見ないと何も始まらないよ。」
やっぱりこのグループは温かい。根拠がなくても確証がなくてもリスクがなければ大概のことはやろう!と明るく受け止めてくれる。
いのちゃんに同意して俺の近くにいた山田が手を差し出してくる。
「え、何」
「何って。手、繋ぐんでしょ?」
何をおかしなことをとくすりと笑う彼の手を取る。触れた手は暖かかった。
俺を右端として次に山田が、隣は裕翔。高木、光くん。薮ちゃんにいのちゃん。最後に知念。
いのちゃんの隣の薮ちゃんは絶対にいのちゃん手を離さないと意志が伝わってくるほど強く握っていた。
若干いのちゃんは痛そうであるが1番連れていかれる可能性が高いのは彼だ。仕方ない。
シャラン
もう何度聞いたかもわからない鈴の音。不意に、視界のはしの知念が宙へと舞った。繋がれていない左手を黒い手が掴んで引っ張っているのだ。
いのちゃんの手だけが知念を引き留めている。
「届かなかったからわかる。2度とこの手から仲間を手放さない!!」
普段の彼ではありえないほどの声がこの場を震撼させる。そんな声出せたのかよ。
白く細い腕と筋肉のついた白い腕が強く結び合うも黒い手の方が強く知念の体が段々と上へと上がっていく。
瞬間、いのちゃんが薮ちゃんの手を離して両手で知念の手を掴んだ。
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作者名:悠璃 | 作成日時:2024年1月21日 12時