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ar side ページ18

「はっはっはは、それで返せとは笑わせるな。主らは覚えておらんのだ。この者の名など。それほどまでに主らにとってこの者はどうでも良いのだよ。どうでもいいと思っている主らより、この者を必要としている主殿のもとにいた方が良いのだ。」

悪意のこもった高笑いはこの場の空気を大きく振るわせた。
どうでもいい?そんなはずはないだろう。大事なメンバーがどうでもいいわけないだろう。でも、そうならば名前を覚えていないわけない。しかし、俺は思い出すことができていない。つまりは彼は俺たちにとってどうでもいい人だった?そもそも彼はメンバーだったか?俺が先ほど思い描いていたのは本当に彼だったのか?別の誰かと混同しているだけで本当は赤の他人なのではないのか?
記憶の中で楽しそうに笑う彼が黒いモヤに覆われていく。
一体俺は何のためにここにきた。
俺の横に立つ俺より背の低い彼は誰だ?彼もまた他人なのか?わからない。
記憶と思考にかかり続けるそのモヤはどれだけ待っても取れることはない。
隣の彼と目が合った。おそらく向こうも俺と同じことを思っているのだろう。コイツは誰だ、と。
困惑する俺たちをよそに愉快そうにほくそ笑むお狐様。

「大…ん…、ち…ね...」

ふと、掠れた声がした。固まる思考をよそに反射でそちらを向く

「お、願い。思い、出して、」

「大ちゃん、知念….」

あまりに小さく震えた声が万物を呼び起こした。
そうだ、隣の小さい彼は知念。知念侑李だ。何を俺は忘れていた。何よりも大切なメンバーだというのに。隣の彼がツカツカとこちらに寄ってくる

「ちょっと、大貴!!僕のこと忘れるとか酷くない?」
「はぁ?!お前だって俺のこと忘れてただろ!!オマエダレ?って顔でこっち見てたくせに!!」
「それはこっちのセリフだよ!!」
「バカな、そんな。主らが思い出せるわけがないだろう」
「「あ”?!こっち今取り込み中!!」」

やんややんやと言い合う俺たちに割り込んできたお狐様を一喝して追い払う。
思い出さればこっちのもんだ。あとは、俺たちの覚醒のトリガーになったか彼の名を呼べば万事解決である。

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作者名:悠璃 | 作成日時:2024年1月21日 12時

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