どの手を掴むかは自分次第。 (ページ13)

今日:4 hit、昨日:30 hit、合計:3,306 hit

ar side ページ13

「あなた、だぁれ？」

茶髪のショートヘアの女の子に行手を阻まれた。

「ごめんね。俺急いでるからさ。ここ、通してくれないかな？」
「ねぇ、聞こえてる？あなた、だぁれ？」
「言わないと通してくれないの？」
「あなた、だぁれ？」
「…わかった。俺は有岡大貴。ありおかだいき、だよ。」
「ありおか、たいき？」
「たいきじゃなくてだいき、ね。」
「ふぅん。ありおか、さんね。何でここをとおりたいの？いきはいけど帰りはあぶないっておかぁさんに教えてもらわなかったの？」

女の子に名前を聞かれたと思えば名前を間違われ、結局名字で俺のことを呼ばれる。正直よくわからない。見た目はただの小さな可愛らしい女の子だ。ホラー映画とかに出てくるような子達はと全然違う。

「行きはいいけど帰りは危ないってどう言うことかな？」
「ここの神様さみしんぼ。たくさんいるなら1人は残ってアノヒトと。たくさんで神様にあいにいったら神様よろこんでつれていくの。手をはなさないでみんなでつないで帰るんだよ。」

それを言い終わった途端に強風が襲った。思わず目を塞いで開ければ消える女の子の姿。
ここの神様がさみしんぼとはどう言う意味なのだろうか。さみしんぼだからつれていくのだろうか。
どうであれ、道は開いているわけだ。このままいのちゃんの元に向かうしかない。橋に差し掛かったと言うことはもう少しで着くと言うことだ。
足を動かし先を急ぐ。

「この辺りのはずなんだけど…」

神社の鳥居があったであろう場所の付近に来たはいいものの、全然鳥居は見つからない。神社って招かれざる者は神社に行くまでに迷子になる。不意に記憶の隅から出てきた言葉。どこかで見た気がする。それが新聞であったか収録中に聞いたのか、はたまたメンバーから聞いたのかは定かではない。よく思い返してみれば最初に鳥居を見つけたのはいのちゃんでその後に知念が見つけていた。あの瞬間、本当はあの2人以外誰も見つけれていなかったのではないだろうか。思い返せばいのちゃんと知念以外のみんなも首を傾げていたような気がする。そうなってくると、俺はこのまま神社に入れないことになる。それはとってもまずい。