星が見えない夜空 (ページ8)

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Ｎｏ.７ページ8

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「あ、このマンションです。運ぶの手伝って下さってありがとうございました … ！」

「あー、玄関まで持ちますよ？出来るだけ負担少ない方がいいですし」

「じゃあ … お言葉に甘えて … お願いします … 」

先程より緊張感が解れたのか、

今度は素直に御願いする事にしエレベーターに乗り3階まで移動し私の部屋の前まであっという間に着くと扉の前で止まり米津さんと向き合う。

「態々ここまで本当にありがとうございましたっ … 、助かりました！」

「いえ、わりとそんなに遠くなかったですしお安い御用ですよ」

「じゃあ、今度こそここで、おやすみなさい米津さん」

三ツ〇サイダーの入った袋を受け取り鍵をトレーナーのポケットから取り出し扉を開ける。

中に入る前にさよならとそう告げようとしたその時。

「あ、あの」

「？はい？」

「あれだけ話してて、貴方の名前聞いてなかったんで今聞いてもいいですか」

「あ、も、勿論です！私 A A って言います！」

「 Aさん … 、… じゃあおやすみなさいAさん。足、お大事に」

「は、はいっ、おやすみなさい」

名前を聞かれるとは思わなくて驚いてしまったけど、

矢張り嬉しさの方が勝つもので頬が自然と緩んでしまう。

おやすみと告げた際の米津さんの柔らかい笑みにつられる様に私も笑みを浮かばせ、2度目のおやすみを告げると、

帰って行く米津さんの後ろ姿を見送り自宅の中へと入り。

「はぁー … 、き、緊張した … 、でも楽しかったな … 」

中に入るなり三ツ〇サイダーをテーブルの上に置きベッドへと右足を庇いながらダイブし一人そう呟く。

「また … 話したいな … 、って何考えてるんだ私！もう会えるわけないじゃん！調子に乗るな！」

自分にそう言い聞かせ、荷物の整理の疲れからそのまま枕に頭を押し付け久々に幸せな眠りについて。

次の日の朝、テーブルの上に放置していた三ツ〇サイダーが全てぬるくなったのは言うまでもない。