編集裏話 ページ16
「――――――――…はぁ…」
事務所の一室。
映像機材が集まっている一角に、ため息が響く。
ため息の主は、先程からかれこれ３時間は、映像の編集を行っていて。凝り固まった肩を、腕をぐるっと回すことで解そうとしていた。
画面の中では、小柄な女性が同じく小柄な男性にだっこされている。
本編部分はもう既に編集が終わっており、あとは最後の部分だけ。
なにを入れようか…カットした部分にしようか悩んだのだが、メンバーから提供された動画。殆どがとてもじゃないけど外には出せないものだったのだが…最近とある番組で話題になった彼女。
彼女の、その番組で流れた部分からは想像もできない部分が写し出されていた。
きっと、この動画も話題になる。
俺の仕事は、この動画の再生数を確保することだ。
ならば。
使わずには、いられない。
あとは、どこを使うか、だが…
「ここは可愛すぎるしな…」
悩んだ。
が、とりあえず流れる時間はかなり短いこと。また、最後に流れるからシメとしてうまくまとまっている部分。
それを踏まえて、ウチでは３の線を担当してくれている彼の部分を使わせて貰うことにした。
それにしても…
「可愛すぎる…」
画面の中の彼女は、いつも見ているしっかりした姿とは打ってかわって、とても愛らしい。そう、愛らしいという言葉がぴったりなのだ。
「俺のことも…下の名前で呼んでくれないかな…」
そんなことを、願うほどに。可愛らしいのだ。
「…また、催眠術、やろうかな」
その時は、自分も最後までいよう、と
流れ続ける映像を眺めながらそう、決めたのだった。
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作者名：まめ
| 作成日時：2023年4月30日 23時
