ちびれんくん7

▼ ページ48

渡辺先生side

黒崎「廉くん、しんどい所とかない？大丈夫かな？」

廉(コクン)


黒崎先生の問いかけに

小さく頷く廉くん。


しんどくはないけど、喋る元気までは

まだ回復してない。そんなところかな。


「横にならなくて平気？」

廉「ん、だっこ…」

「うん、いいよ。電気戻るまで抱っこしててあげる」


そう言うと、嬉しそうな声が聞こえてきた。


黒崎「あ、そうだ。これなーんだ」

廉「あ、でんしゃ…」

黒崎「せいかーい。廉くんに前あげたシリーズのシール。まだちょっと余ってたんだ。全部あげる」

廉「いーの、」

黒崎「いいよ〜、暗い所に居るの頑張ってる廉くんにご褒美」

廉「んふっ、あーと！」


黒崎先生からシールを貰えて

凄く嬉しそうに眺めてる。


そういや、廉くん

新幹線や飛行機が好きで…

最近は車にも興味が出てきたって

この前の定期健診でメンバーさんが言ってたっけ。


「良かったね〜」

廉「あい！シーリュをね、ないないする、絵本がありゅの」

「絵本？」

廉「ん、んとね…こう、1枚1枚ないないしゅるお部屋があってぇ…」

「あ、もしかして。こんな感じのことかな？」


近くにあった、名刺入れを渡して

見せてあげると、そうそれ！！と

元気な声で教えてくれた廉くん。


「バインダーって言うんだよ」

廉「ばいんだー」

「そう！正解。凄いね、廉くん」

廉「んふふ」


こうやって素直に、何でも

スポンジのように吸収する廉くんは

小さくなっても変わらないんだなぁと感じた。


黒崎「ちゃんと大事に、ナイナイしてるんだね」

廉「あい！最初はね？カンカンに入れてちゃの」

「うん」

廉「けどね、段々増えてってぇ…しょーが、これどーじょってしてくれてぇからナイナイしゅるようになったんだよ〜」

「そうだったんだ。良かったね」


そして今度見せてくれる約束をしてたら

パチンと電気が復旧した。


廉「んっ、まぶち〜」

「ふふ、そうだね。かなり眩しいね笑」

黒崎「ですね笑」


暗い所から一気に明るい場所に

変わったから目が慣れてなくて

眩しくて仕方がない笑


「よし、海人くん探しに行こっか」

廉「あい！」

黒崎「点滴はもう少し付けててね」

廉「あーい」


まだ点滴が終わってないから

廉くんを抱っこして、点滴スタンドを引きながら

海人くんを探しに部屋を出る。



＊






＊



数歩、歩いて

何個目かの角を曲がった先に海人くんが座ってて


僕たちを見つけた瞬間走ってきてくれた。

▼→←▼

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す