ゆきのふるひに。 ページ45
狗巻side
五条先生の声は、ひどく暗い。
「…僕とAが出会ったのは、彼女が中学3年の夏でね。上層部の嫌がらせで二級呪霊の任務に行ってたんだ。でも指定された場所に行っても呪霊は既に祓われた後だった。」
「……Aがね、祓ってたんだよ。信じられる?中学生のAがさ、剣を片手に、血だらけでさ。話しかけたら、僕を見てにっこり笑って、『こんにちは』て。なんでもない顔して言うんだ。」
そう言う先生の顔は、影になって見えないけれど、泣いているみたいだった。
「…それで、六眼で見てみたら、かなり強い術式を持ってたから冗談半分で「呪術高専に来ない?給料もでるし、高卒認定も取れるよ。あと美味しいご飯が出る食堂もあるよ。」って誘ったら、Aどうしたと思う?」
「『行きます』って即答でさ。……今思えば、あの頃からもう手遅れだったんだよ。」
「…それは、どういう」
「それから僕はたまに彼女に会いに行った。会って、いろんな話したりご飯を食べたりした。当時から彼女はすごくちょろくて、なにかとすぐ他人の誘いに乗るから心配だった。こんなにちょろい子に会ったのは初めてだよ。でもそれが大事なサインだったなんて全然気づいてなかったんだ。」
「硝子に、彼女のことを話したらね、深刻そうな顔で「それは愛情不足の表れかもしれないな」って言うんだよ。僕びっくりしてさ、「どういうこと?」って聞いたら、「家族に恵まれていないのかもな」って。…僕、妙に胸騒ぎがしたから、夜だったんだけどすぐAの家に行ったんだ。」
「そしたら、Aは玄関の外で膝を抱えて座ってた。」
「雪の降ってた真冬の夜にね。」
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シシマチ(プロフ) - さざんかさん» コメントありがとうございます。楽しんで読んでくださって、とてもうれしいです。更新頑張ります! (2021年6月14日 21時) (レス) id: 6141eb3956 (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - わー!!気になるところで止まってらっしゃる;;更新お疲れ様です!めちゃ楽しませてもらってます!!続きも楽しみにしています! (2021年6月14日 1時) (レス) id: 20c7caba78 (このIDを非表示/違反報告)
シシマチ(プロフ) - 43yomi1さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しい限りです。更新頑張ります! (2021年6月11日 17時) (レス) id: 6141eb3956 (このIDを非表示/違反報告)
43yomi1(プロフ) - 初めまして!シシマチ様の小説とっても素敵で、思わず惹き込まれてしまいました…!更新楽しみにしてます…!!!!! (2021年6月10日 15時) (レス) id: d2940ba0c0 (このIDを非表示/違反報告)
シシマチ(プロフ) - 小手鞠さん» コメントありがとうございます!更新頑張りますね(^^) (2021年6月10日 0時) (レス) id: 5733ebb1d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シシマチ | 作成日時:2021年6月3日 21時