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なつく ページ42

真希side


あの日以来、Aは私らに異様に懐いた。

どこへ行ってもひよこみたいにとことこついてくる。

でも、やっぱりどこか壁があるみたいだ。

以前のAとは全然違う。

まず、物で釣られることがない。

お菓子をチラつかせても、全くなびかない。

そしてあんまり笑わない。

私らに慣れたとはいえ、怯えた表情をしていることの方が多い。




これが本来のAの姿なのだろうか、と考えたりした。


今日は、私と棘とパンダで体術の訓練をしている。
その様子を木陰からAは眺めていた。

ちなみに一年ズは任務。


と、


「お疲れサマンサ!」

「げ」

中庭に悟こと白髪目隠しがやってきた。


そしてアイツがやってくることをいち早く察知したAは、こちらへかけてきて、パンダの背中にしがみつく。

「……何しにきたんだよ悟」

「えー、なんでちょっとキレ気味なのさ。たまたま通りかかっただけだし。」


そう言って悟は、パンダを見た。

いや、正確には、パンダの後ろに隠れているAを見た。

「A、五条先生だよ。こんにちは。元気?」

『……』

Aは答えない。

こいつは、私らには慣れてくれたが、悟や家入先生、七海さんにはまったく心を開かなかった。

今も、パンダの後ろで震えている。

悟はそれを分かっていて、毎日Aに話しかける。


「……ほら、A、悟がこんにちはだって。こういう時はなんて言うの?」

気を利かせたパンダが、Aに促すも、答えない。

「……この間ね。僕北海道に任務に行ってきたんだ。お土産においしいバターサンドクッキーを買ってきたから、職員室に食べにおいでよ」

「お、いいね。私らにもくれよ」

「もちろん真希達のもあるよ。」

「たかな。」

「ほら、ありがとうは?A」

数十秒の沈黙。



今回も何も答えないと思われたAの口からは。


『………ありがとう……ございます。』


「……!!!」


か細いけれど、返事が聞こえた。


「うんうん、どういたしまして!じゃ、僕もう行くね!訓練がんばれ、若人よ!」


悟はるんるん気分で去っていった。









Aも、変わろうとしているのかもしれない。

自販機→←記憶がなくても。



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シシマチ(プロフ) - さざんかさん» コメントありがとうございます。楽しんで読んでくださって、とてもうれしいです。更新頑張ります! (2021年6月14日 21時) (レス) id: 6141eb3956 (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - わー!!気になるところで止まってらっしゃる;;更新お疲れ様です!めちゃ楽しませてもらってます!!続きも楽しみにしています! (2021年6月14日 1時) (レス) id: 20c7caba78 (このIDを非表示/違反報告)
シシマチ(プロフ) - 43yomi1さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しい限りです。更新頑張ります! (2021年6月11日 17時) (レス) id: 6141eb3956 (このIDを非表示/違反報告)
43yomi1(プロフ) - 初めまして!シシマチ様の小説とっても素敵で、思わず惹き込まれてしまいました…!更新楽しみにしてます…!!!!! (2021年6月10日 15時) (レス) id: d2940ba0c0 (このIDを非表示/違反報告)
シシマチ(プロフ) - 小手鞠さん» コメントありがとうございます!更新頑張りますね(^^) (2021年6月10日 0時) (レス) id: 5733ebb1d6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シシマチ | 作成日時:2021年6月3日 21時

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