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食堂 ページ39

真希side

自販機に行こうと思って、棘と歩いていたら、知っている匂いがした。

甘い匂い。

匂いをたどると、そこには茂みに体育座りしたAの姿。

そして、信じられないことに、そこらへんに生えてる雑草を食べている。

棘も気づいたらしく、咄嗟に、雑草を口に入れようとするAの手を掴んだ。

「おい、お前こんなとこでなにしてんだよ」

『……あ、…』

そう問いかけただけなのに、みるみるうちにAの顔が曇った。

目の端には涙。

「……泣くなよ。聞いただけだろ。…」

「しゃけ」

「…腹減ってんのか?」

そう聞くと、Aは小さくこくりとうなずいた。

悟がちゃんと飯やってるはずなんだけどな。

『……あ、あの…はなして、ください。』

かぼそくそう言ったが、私も棘も腕を離す気にはならなかった。

だって離したらまた草食べそうだし。

その代わり、彼女の腕を引いて歩く。

『…!はなし、て』

Aの声は泣いているみたいだったが、かまわなかった。







強制的に連れて行ったのは、高専の食堂だった。

Aを席に座らせ、棘を見張りに置いて、私は3人分の定食を注文した。

出来上がった定食を受け取り、席に戻る。

「ほら、食え」

「しゃけ。明太子」

Aの目の前にトレーを置き、食べるよう言ったが、手をつける素振りも見せない。

顔はすごく食べたそうなのに。


仕方ない。

まずは私らから食べるか。

「いただきます。」

「たかな。」

棘と二人、箸を取って湯気の立ち登る料理を口に入れる。

「うん、うまいな、棘」

「しゃけ!」

わざとらしくそう言う。

ちらり、とAの方を見るが、まだダメらしい。

「……A、お前さ、なんで食べないわけ?こんなに美味いのに」

「しゃけ。いくら」

「前のお前ならすっげえ喜んでうまそうに食ってたのに」

私のセリフが癇に障ったのか、Aは恐る恐るといった感じにこちらを見た。


『……なんで…Aのことしってるん…ですか』

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シシマチ(プロフ) - さざんかさん» コメントありがとうございます。楽しんで読んでくださって、とてもうれしいです。更新頑張ります! (2021年6月14日 21時) (レス) id: 6141eb3956 (このIDを非表示/違反報告)
さざんか(プロフ) - わー!!気になるところで止まってらっしゃる;;更新お疲れ様です!めちゃ楽しませてもらってます!!続きも楽しみにしています! (2021年6月14日 1時) (レス) id: 20c7caba78 (このIDを非表示/違反報告)
シシマチ(プロフ) - 43yomi1さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しい限りです。更新頑張ります! (2021年6月11日 17時) (レス) id: 6141eb3956 (このIDを非表示/違反報告)
43yomi1(プロフ) - 初めまして!シシマチ様の小説とっても素敵で、思わず惹き込まれてしまいました…!更新楽しみにしてます…!!!!! (2021年6月10日 15時) (レス) id: d2940ba0c0 (このIDを非表示/違反報告)
シシマチ(プロフ) - 小手鞠さん» コメントありがとうございます!更新頑張りますね(^^) (2021年6月10日 0時) (レス) id: 5733ebb1d6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シシマチ | 作成日時:2021年6月3日 21時

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