コーンポタージュ ページ6
菊池原サイド
「…疲れた。もう動けない」
「あとちょっと頑張れ」
僕らは、近界に遠征に行っていた。
それで、帰還したばかりなのに、玉狛のブラックトリガーを奪取するという任務を命じられた。
その上、迅さん達に邪魔されて、敗退。
ほんと、最悪だ。
「…おい、菊池原。そんなところに座るな」
「うるさいなぁ。ちょっと休もうよ〜」
「休もうってお前、隊室までもう少しだぞ」
歌川は本当に融通が効かない。
僕は、壁にに背を預けて、廊下の隅に座り込んだ。
風間さんがいたら多分怒られてた。
その時だった。
コツコツ、と軽い足音が聴こえたのだ。
僕にはわかる。
黒いブーツの音。
それは。
「っ、おい、菊池原？！」
僕は疲労も忘れて、駆け出していた。
「Aさん！」
その人は、ずっと会いたかった人だった。
『あら、こんばんは、菊池原君』
ふわり、と微笑むAさん。
僕が、ボーダーで1番尊敬している人だ。
「…おい、菊池原！…あ、お久しぶりです日向さん」
『歌川君もこんばんは。…そう、遠征から帰ってきてたのね。ごめんなさいね、お迎えに行くつもりだったんだけど…』
「そうですよ、僕待ってたのに」
「こら、菊池原。すいません。」
『うふふ、いいのよ。おかえりなさい、2人とも。無事で良かったわ。』
そう言って、Aさんは僕たちの頭を優しく撫でた。
…撫でるのは僕だけでいいのに。
『風間君は居ないの？』
「うん、なんか用事あるみたいでさ」
『…そう。もうこんな時間だし、お家まで送っていこうか？』
「え、いいの！？」
「いえ、大丈夫です。今日はこのまま隊室に泊まる予定なので」
歌川、余計なこと言わないでよ！
心底そう思ったけど、口には出さなかった。
泊まるのは本当だったから。
顔には出てたかもしれないけど。
『…そうなのね。ちゃんと暖かくして寝るのよ？』
「…はーい。」
「お気遣いありがとうございます。」
そう言って踵を返すAさんを、僕は少しだけ不満気に眺めるだけだった。
と、Aさんは振り返って、僕たちの元に小走りで戻ってきた。
『ちょっとまっててくれる？』
そう言って、どこかへかけていった。
戻ってきたAさんの手にあったのは、二つの缶。
それを僕たちに手渡して、
『お疲れさまでした。ゆっくり休んでね』
陽だまりのように優しく微笑んだ。
それは、温かいコーンポタージュだった。
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ろいど(プロフ) - 一気読みさせて頂きました！！更新楽しみに待ってます！！ (2022年3月4日 21時) (
レス) @page48 id: 5682104901 (このIDを非表示/違反報告)
理玖 - 東隊や鈴鳴第一と絡ませて欲しいです。 (2021年12月16日 21時) (レス) @page48 id: 72df48888f (このIDを非表示/違反報告)
化粧した亀 - 〜でしょか。ではなくでしょうか。でした。誤字りました。（笑）すみません (2021年11月8日 22時) (レス) id: f6208bd07c (このIDを非表示/違反報告)
化粧した亀 - 全て読ませていただき、すごく面白かったので即高評価させて頂きました。リクで緑川くんと、那須隊との絡みをお願いしてもよろしいでしょか。 (2021年11月8日 22時) (レス) id: f6208bd07c (このIDを非表示/違反報告)
シシマチ(プロフ) - そらさん» そうおっしゃっていただけて嬉しい限りです。リクエストありがとうございました。1ヶ月以上もお待たせしてしまって申し訳ありませんでした。これからもよろしくお願いいたします。 (2021年10月28日 11時) (レス) id: 6141eb3956 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シシマチ | 作成日時：2021年5月27日 14時
