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3年になるちょっと前の、寒い時期。
カズと一緒に借りてきた映画をうちで見ていた時。
カズが上着を被って隠れてふざけてるから、私は上着の袖に手を入れてふざけてた。
そしたら、カズは私の手を掴んで。
人差し指を噛んだ。
ピリッとしたものが身体を駆け巡る感覚に、不覚にもドキドキした。
それから、また指を噛んでくれるのを期待して、そのおふざけを私も繰り返す。
それが、ちょっとだけエスカレートした。
カズが私の後ろに座ってて、それもいつもの事だから気にしてなかったんだけど。
急に、私の脇腹をくすぐり始めた。
くすぐったい事に弱かった私は笑い転げながらも、カズの足の間で逃げ場もなくて。
最終的にカズにもたれ掛かって、ぐったり…。
そしたら、脇腹からゆっくり手が胸に移されて。
カズの顔が、私の首筋に埋まる。
首筋に唇が触れた瞬間、指を優しく噛まれた時のビリビリ感を思い出した。
きっと、でっかいテディベアなんかを抱いてるように見えてるんだろうな、とか。
あぁ、カズも男の子なんだな、とか。
やんわり揉んでくる手の大きさや、その行為が。
カズを異性として、ちょっとだけ意識させる材料になってしまった。
ヤバいな、この空気はどうしたら良いんだ…って焦ってたら、家の固定電話が鳴って。
うちには私とカズしかいなかったから、逃げるように電話に出た。
カズがこんな事をしてきたのは、夏休みにもう1回だけあった。
後ろからくすぐられて、弱ったところで胸を服の上から触られて、首筋には唇が這う。
今でもカズのこの行動が謎。
しばらくして彼女と別れた話は噂で聞いて、また隣の席の子と噂になって…って、卒業までそんな噂ばかりが回ってた。
でもそれで、カズがモテるのを初めて知った。
普段は私に対して、ワンコみたいだったからね。
お願い事があるとクゥン、みたいな？
いや、可愛いんだけどさ。
仕方ないなぁ、って甘やかしたのは私が悪い。
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作者名：ニーナ | 作成日時：2017年6月30日 11時
