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僕は今日も君に良い顔をする。
君の理想の幼馴染の僕で居る為に、僕は僕の感情に蓋をして閉じ込めておかなければならないのだ。
煮えたぎったこの感情を閉じ込めて、今日も気持ち悪い優しさで君に笑いかけるのだ。
▽
授業中、ウトウトと頭を揺らすAが見える。
昨日はよく眠れなかったのかな?考え事をしていたのかな?
____僕のことを考えていたのかな?
なんて、そうだったらいいのにな。
授業の終了を告げる無機質なチャイムの音と共に号令がかかった。
「起立」の声に慌てて体を上げた彼女がとてつもなく愛おしい。
「A、寝てたでしょ。見えてたよ。」
僕が席まで行くと君は恥ずかしそうに笑った。
『昨日遅くまでスマホ見ちゃってさ、目が冴えちゃって結局寝たの二時過ぎとかで…』
____知ってるよ。
なんて言ったらAは冗談だと思うだろうか。
僕は昨日君がベッドに潜って暗がりの中でスマホを眺めていたことも、寝なきゃと思って何度も電源を切っては眠れなくて再び明かりをつけたことだって、それに、
僕以外の男の返事を待っていたことだって
僕は知っている。全部、全部知っているんだ。知ってしまっているんだ。
知ってなお、閉まっているんだ。
「その調子じゃ次のテストは赤点かもね」
そう。
そうやって、
僕は今日も君に良い顔をする。
君の理想の幼馴染の僕で居る為に、僕は僕の感情に蓋をして閉じ込めておかなければならないのだ。
煮えたぎったこの感情を閉じ込めて、今日も気持ち悪い優しさで君に笑いかけるのだ。
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作者名:ne6 | 作成日時:2023年6月24日 21時