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｢A｣
ダンスサークルの活動場所、大きな鏡がある舞踊室。
その隅っこでちょこんと座っている彼女を見つけたから名前を呼ぶと、ボーッとしていたAはハッと顔を上げて『ジェノ！』と笑った。
｢珍しいね、そんな隅っこに座ってるの｣
『そう？』
｢うん。いつも誰かに囲まれてるじゃん｣
『ああ〜、みんな私のこと大好きだからね！』
｢ふふ、うん、間違いないね｣
『ちょ…突っ込んでよジェノ〜』
恥ずかしいじゃん！と軽く頬を膨らませてみせるAはあまりにも可愛くて、こんな姿を見るのももう3年目になるのに、未だにドクンと胸が跳ねる。
そんな気持ちは全部隠して、僕は何食わぬ顔でAの隣に腰を下ろす。
ふわりと香るシャボンの香りに、無理に飾らない自然な彼女らしさを感じて嬉しくなった。
｢疲れてる顔だね。なんかあった？……とか、あんまり聞かない方がいい、かな｣
ずるい聞き方なのは分かってる。
引いているようで押している。
これ、おれの一番得意なやり方。
『あ、ううん、ちょっと……なんていうか…』
話そうか話さないか、迷う瞳。
こういう時のAは、もう少し引けば必ず話してくれる。
｢あっ、いや、無理して話さなくても大丈夫だよ。もし僕になにか出来ることがあったら気軽に言ってね、ってことだけ伝えとく｣
とびきり柔らかく微笑んで、その目を見つめて、包み込むように声を出す。
『…ジェノは、本当に優しいね。
お言葉に甘えて…今日でも明日でもジェノの都合が良い時に、ゆっくり話聞いて欲しい…かな』
どれだけ仲良くなっても、頼み事をするのが下手なA。ぎこちなくて不器用で、そんなとこが可愛くてたまらないんだけどね。
｢わかった。なら、今日の夜、一緒にご飯でも行く？｣
『うん、そうしたい。ありがと』
｢こっちこそ、話すって決めてくれてありがとう。サークル終わったらそのまま行こうか｣
『うん。この辺、適当に歩いてたらお店見つかりそうだしね』
ちょうど良いタイミングで先輩たちが来たので、おれたちはサークル終わりにキャンパスの入口前で落ち合うことを決め、それぞれのグループに分かれて練習を始めた。
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リリコ(プロフ) - rriさん» 返信が遅くなってしまってごめんなさい(泣)そして、温かい感想をありがとうございます！これからも楽しんで頂けるよう頑張ります！ (2021年6月19日 17時) (
レス) id: 022271aac7 (このIDを非表示/違反報告)
rri(プロフ) - ジェノくんのお話震えました…！最高すぎますヽ(；▽；)ノこれからも楽しみにしております！ (2021年4月30日 18時) (レス) id: 476bb9a440 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リリコ | 作成日時：2021年2月17日 21時
