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渋「ぶっさいくや」

「・・・仮にも乙女に向かって」

渋「ほら、こっち来い」



言われるがままに
彼の隣に腰掛ける

彼の濡れた手が
わたしの頬を挟む

信五さんの手と違って、
温度があった



渋「こーしたら、可愛い」



渋谷さんの親指がわたしの口角を
グッと引き上げた

上げたり下げたり
引っ張ったり
一通り顔で遊ばれ

両手で頬を包まれたまま、
彼は音を立ててキスをした




渋「落ち着いた?」




驚いた。

確かに沈んでいた気持ちも
怒りや悲しみも

ほとんどなくなっていた

思い返せば
胸が締め付けられるけど
渋谷さんがそばにいる安心感は

あの人のことを忘れさせてくれた





「・・・はい」

渋「なんや、もうドキドキせえへんのかい」



そんなこともあったなと、
遠い昔のことのように思い出す

彼の手がわたしの後頭部に回った

意味はわかった

目を閉じた

まるで初恋のような
甘くて爽やかなキス

薄く目を開けると
彼の長い睫毛が下を向いてて
美しいと思った

ゆっくりと顔を離す

唇に残った彼の感触が
名残惜しくて




渋「・・・寂しさ、紛らわすんにやったらいくらでも俺のこと利用せえ」

「渋谷さん」

渋「・・・Aには今、ここしか居場所、ないんやから」





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猫彦(プロフ) - ゆうとさん» コメントありがとうございます。村上さんとしたい事をぎゅっと詰め込んだ作品です笑 読んでいただきありがとうございました。 (2018年2月20日 22時) (レス) id: 994f2131bb (このIDを非表示/違反報告)
ゆうと(プロフ) - はじめまして。ヒナちゃん特有の大人の色気が存分に発揮されて切なくもほっこりした素敵なお話でした。横猫にさらにほっこり!そして最後のすばるくんの位置づけにさらにキューンってなって満足感いっぱいです。違うお話も楽しみにしますね! (2018年2月20日 21時) (レス) id: 8103d530f2 (このIDを非表示/違反報告)
猫彦(プロフ) - ruruさん» まさかruruさんに読んで頂けたとは…驚きました。ありがとうございます。まだまだ至らない点も多々ありますがまた楽しんでいただけるような作品を書けるように精進します。本当にありがとうございました。 (2017年9月30日 21時) (レス) id: 9278fa5177 (このIDを非表示/違反報告)
ruru(プロフ) - はじめまして。面白くて一気に読ませて頂きました!久々にこんな一気読みをするお話に出会えました。ファンタジックな中に大きなテーマ、素晴らしいです。また読み返したくなるお話だと思いました。ありがとうございました! (2017年9月29日 2時) (レス) id: 26d316704d (このIDを非表示/違反報告)
猫彦(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます。読みやすいでしょうか…自分では癖がある文だな、と反省していたので安心しました笑 時間をいただくとは思いますが、また読んでいただけたら幸いです。 (2017年9月25日 18時) (レス) id: 9278fa5177 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:猫彦 | 作成日時:2017年9月10日 17時

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