オーディション08 ページ9
後ろを振り返ると、いや、見上げると大きい男の人がいた。私の頭がその人の胸板ぐらいにあり、私が154cmぐらいだからあちらさんは180cmぐらいあるんだろうか。
『おっきいですね…』
思わず声に出すと、その大倉さんって人は、目を見開いて、
「あっはっはっはっ」
と笑い出した 。
「さっきの子たちらは、僕見たら悲鳴あげてたのに、 君だけや、おっきいって驚いてんの」
『へ？』
どう言う意味だ。 この人が大きくて悲鳴をあげてたのか。いや、でも皆私よりスタイルよくて背も高かったような気もするけれど…
そんな風にハテナを浮かべてる私に対して、
「まぁええわ〜、じゃあ始めます？」
と大倉さんはプロデューサーっぽい人たちに合図を出す。
すると、
「おい、ちょっと脱いで演ってみ」
…………！？
何かあの今まで一言も話さなかったあの眼力強めの人から聞こえた、気がする…
脱いでみ？…ん？？？
さらならハテナが浮かぶ私に対して、
「お前に言うてるねん」
やっぱり気のせいではなかった。
「えっと…渋谷さん？」
「いきなりどうしたんですか？」
プロデューサーっぽい2人と、女性2人もオロオロしたようにその人を見ている。
え、その人が立場的に1番上なん？？え？？
「全部言うとるんやなくて、上のそのトレーナーだけ脱いで演ってみ」
なんということでしょう。一瞬ほっとした自分がいたけれど脱ぐ事態はあまり変わってない。
トレーナーを脱ぐって私この下ブラトップ1枚…秋になったばかりだからってまだ暑いかとトレーナー1枚しか着なかった朝の自分を恨みたい…
「すばるくんいきなりどーしたん？今までそういうこと言ってなかったやん」
後ろにいる大倉さんが口を開く。
え？？知り合い？？
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作者名：るんば | 作成日時：2016年12月10日 13時
