夜明けの空に。４

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成瀬と深澤は寮の屋上に来た。









成瀬「深澤。」






足取りが重い深澤の腕を取って引く成瀬。








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成瀬「…お前だけのせいじゃない。

俺の方がもっとタチが悪い。」







深澤「…、」







成瀬「救急医になってすぐの頃、

あいつにそっくりな後輩がいたんだ。

負けず嫌いで向上心が高く、

患者のためなら飯すら食わず付きっきりで治療するようなやつだった。

…でもある日彼女は夜勤明けの帰り道、心臓発作を起こし亡くなった。」









深澤「えっ、…。」









成瀬「２７歳の若さでだ。

原因は過労だった。


…俺は彼女が働きすぎていたことに気づいてた。

でも何もしようとしなかった。

そうやって働くのが当たり前だと思ってしまっていた。

朝倉を見るたびその彼女を思い出す。」









深澤「…だから成瀬先生は、

朝倉が救急医を続けることに否定的だったんですね。」









成瀬「結局また、止められなかったけどな。

救急医だって人だ。無理をすれば必ずガタが来る。

なんでそんな当たり前のことがわかんないんだろうな、あいつは。」









深澤「…、Aちゃんはドクターカーに乗ってる時から

すごく朝倉のことを気にかけてました。」









成瀬「ああ、それも俺も気づいてた。

あいつも無理をするやつのくせに、

人が無理しているときには人一倍うるさいし、気にかけてる。

朝倉の危険を察知してすぐに体が動いたんだろうな。

Aがそういう風に人を優先にするやつだって、

絶対見捨てたりしないやつだってわかってるのにな…

俺が朝倉に強く言っていれば、Aも倒れずに済んだだろう…、」









深澤「…、」

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