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レスキュー隊を呼んできて、
足場にいた患者さんと朝倉は搬送することができた。
レスキュー隊が来るまでもAちゃんは上にいる患者の止血をずっとしていた。
.
『はあ…っ、よかった…。』
「…ほんと、大丈夫かよ?」
『…うん、大丈夫、レスキュー隊すぐ呼んできてくれてありがとね。』
「、おう…、」
『ね、降りたいからちょっと手貸して。
もう握力がね、…限界っ、』
そう言って力なく笑う彼女。
あの高さから落ちて、
しかも朝倉のクッション代わりみたいになってたのに本当に大丈夫なのだろうか。
足場を降りてくる彼女に手を差し出す。
”ありがとう”と言って俺の手を握る力はとても弱かった。
彼女の腰を支えて下に降ろすと、
『…あっ、』
Aちゃんは立ち上がれずにそのまま力なく地面に座り込んだ。
「おい、しっかりしろよ…っ、
全然大丈夫じゃねえだろ…っ、」
俺は彼女の肩を後ろから支える。
『おかしいな…なんでかな…っ、
手とか足に、っ、力が入らなくて…っ、頭がっ、』
涙目で顔を歪めながら足を必死にさすり、
もう片方の手では頭を押さえる。
「…っ、」
無理、させてしまったんだ。
俺がちゃんとひとりで処置できたら。
今更悔やんでも仕方ないのに、俺の胸はぐるぐると後悔が渦巻く。
その時、
成瀬「おい!どうした?」
成瀬先生がこちらに来て、
すぐ異変に気付きAちゃんの前にしゃがんだ。
『…っ、足が、っ…うごかっ…な、、』
その頃からAちゃんの呼吸は徐々に浅くなり、
言葉がたどたどしくなっていった。
成瀬「…A!!しっかりしろ!!」
しかしその成瀬先生の呼びかけにも反応する素振りはなく。
俺はというと、呆然と立ち尽くすことしかできない。
成瀬先生は彼女の肩を掴んで仰向けに寝かせた。
成瀬「…脳挫傷かもしれない、早く搬送してCT撮らないとっ。
深澤。朝倉も、Aも、何があったんだ?」
深澤「…っさっき朝倉があの上から落ちそうになったんです!
それを支えようとしたAちゃんが下に落ちて、その上に朝倉も落ちて…っ、
でもAちゃんがすぐに起き上がって朝倉の触診もしていたので…っ、大丈夫かと…!」
成瀬「…、すぐにあさひ海浜病院に搬送します。ストレッチャー!」
救急隊員「はい!」
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みはる - 楽しく読まんでいます!続き待ってます!更新楽しみにしてます! (2021年8月13日 22時) (レス) id: 5d16bd346f (このIDを非表示/違反報告)
なお - ハマって毎日読んでいます!更新楽しみにしています♪ (2021年8月12日 0時) (レス) id: 513e83bcd9 (このIDを非表示/違反報告)
Ne - おもしろかったです。これからもがんばってください!成瀬落ちがいいな… (2021年8月10日 22時) (レス) id: 5823d18468 (このIDを非表示/違反報告)
かとし - こんばんは!楽しく見させていただいてます! 1日に何話ぐらい投稿されてるのですか? これからも応援してます! (2021年8月10日 19時) (レス) id: b3e3245893 (このIDを非表示/違反報告)
にこり(プロフ) - 毎日暑いてますよね、私は暑さで蒸発しました。作者様も熱中症などお気をつけください! (2021年8月9日 13時) (レス) id: 94c21bcf57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作成日時:2021年8月1日 18時