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「彼女は俺のこともあなたのことも覚えてません。
島で暮らしていたことと、父親が亡くなっていることしか知りません。
お引き取りください。
あの時逃げたあなたに彼女に会う資格はないと思います。」
俺はそう言って頭を下げた。
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みなみ「ごめんなさいっ…っ、父方の母に私のことは言わないように口止めしていたんです。
けどっ、どうしても、今は幸せなのか、確かめたくって、
今まで一度も娘を忘れたことはありませんっ、あの日を後悔して
でもいつか会えるかもしれないとここまで生きてきたんですっ、
私の産んだ子ですっ!!」
勝手だと思ってしまった。
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じゃあどうしてあの時、
泣いている彼女を置いて逃げるように出て行ったのか。
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今更なんと彼女に説明したらいいんだよ。
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俺はAを守ろうと必死だった。
あの時俺は彼女を守れなかったんだ。
今は職場の上司としてでもいい。
それでもいいから彼女を守らなければいけないんだ。
そんな使命感に駆られた。
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「ほんとにっ、彼女に会うのはやめてください。
知らないままの方が幸せなことだってあるんです。」
偉そうに言ってしまっている俺だったけれど、
これで正しいのかなんてわからなかった。
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AさんはAと血が繋がってるけど、俺は繋がってない。
なのにこんな偉そうに言ってしまっていいのか。
Aの意思も聞かずに。
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でも、彼女を傷つけるくらいなら。
これくらい…。
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みなみ「…っ、」
「俺だってここにきてやっと…っ、やっと会えたのに、
兄だった俺のことも母親であるあなたのことも記憶から消えているんですよ!?
彼女にとっては思い出したくない記憶なんですよ!!」
俺の口から叫ぶように大きな声が出て、
同時に目からは何度も雫が落ちた。
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みはる - 楽しく読まんでいます!続き待ってます!更新楽しみにしてます! (2021年8月13日 22時) (レス) id: 5d16bd346f (このIDを非表示/違反報告)
なお - ハマって毎日読んでいます!更新楽しみにしています♪ (2021年8月12日 0時) (レス) id: 513e83bcd9 (このIDを非表示/違反報告)
Ne - おもしろかったです。これからもがんばってください!成瀬落ちがいいな… (2021年8月10日 22時) (レス) id: 5823d18468 (このIDを非表示/違反報告)
かとし - こんばんは!楽しく見させていただいてます! 1日に何話ぐらい投稿されてるのですか? これからも応援してます! (2021年8月10日 19時) (レス) id: b3e3245893 (このIDを非表示/違反報告)
にこり(プロフ) - 毎日暑いてますよね、私は暑さで蒸発しました。作者様も熱中症などお気をつけください! (2021年8月9日 13時) (レス) id: 94c21bcf57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作成日時:2021年8月1日 18時