夜明けの空に。2 (ページ9)

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朝倉が心美の入院しているICUに向かうと、

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八雲「そうか！それはよかった。」

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ちょうど心美と話す院長がいた。

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振り向き朝倉に気がつくと、

朝倉は院長に向かって一礼をする。

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八雲「お、どうかしましたか？」

朝倉「あの、ちょっとよろしいですか？」

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朝倉は院長に深澤兄妹のことを聞いた。

八雲「彼女が幼稚園の頃だったかなあ。

私がまだ救急医としてここで働いていたとき、
何度か彼女が運ばれてきて、それからかな。」

朝倉「じゃあ…深澤先生は心美ちゃんとずっと二人で…？」

八雲「深澤先生が高校生の頃、ご両親が事故に遭って亡くなってね。

周りの親戚はかなり反対したみたいだけど、
深澤先生は絶対自分が医者になって妹を養うって聞かなかったみたいで。

幾つもバイトを掛け持ちしながら、医大を卒業した。」

朝倉「…そんな根性のあるタイプだったんですね…。」

八雲「自分のためには頑張れない。

でも、誰かのためなら頑張れる。

どう？救急医に向いていると思わないかい？」

朝倉「さあ…どうでしょう。」

苦笑いを見せる朝倉に、院長は

八雲「ははは！」

と大きく笑った。

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Aside

ウォークイン患者の診察途中で

資料を取りに医局に戻ると、

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深澤先生がパソコンに向かったままぼーっとしていた。

『…おーい。寝てんの？大丈夫？』

思わず声をかけると、

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「…なあ…小児のさ、

熱があって、顔に黄疸が出てるのってさ…ただの風邪じゃないよな？」

と深刻そうな面持ちで聞いてきた。

何かあったのかな？

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『…黄疸か…うん、

もしあれなら詳しく再検査した方が…』

その時、スタッフルームがバタバタと動き出す。

美月先生が以前ウォークインで診察し、

舌を噛んで怪我をした患者が今度は緊急搬送してくるらしい。

今回はなんと、自分で舌を噛み切って重症だそうだ。

朝倉「A先生、手伝ってくれる？」

『わかりました！…ごめん、深澤先生、またあとで！』

深澤「…あ、おう！大丈夫！」