夜明けの空に。2 (ページ37)

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麗子「留学の準備が整うまでの間、あの子を本院に戻して

ジョブローテーションさせることにしたから。」

仕事の合間を縫って勉強に励んでいる桜庭の裏では、

彼を留学させるようにどんどん話が進んでいた。

麗子はあるバーへ本郷に会いにきている。

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麗子「サインして。」

麗子が本郷に紙を手渡す。

本郷「…人の聖域にまで押しかけてきて

わざわざこんなものを渡しにきたのか。」

麗子「あの子の体のこと、あなたもよく知ってるでしょ？

…心配なのよ。

救急医なんて仕事、瞬に務まるはずがない。」

本郷「過保護で口うるさい親を持った子供は大変だな。

それともあれか、会長の仕事は案外暇なのか…。」

麗子「その口ほんと縫合したくなるわね。

とにかく、書類、頼んだわよ。」

店を出て行く麗子と、

麗子に渡された書類を見つめる本郷。

その書類は、”転科届”だった。

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そして、そのまた夜。

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桜庭「えっ…」

朝倉「どうした？」

桜庭「..来週から俺の名前が消えてる。」

桜庭はシフト表を見てそう言った。

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『えっ。』

深澤「マジかよ…。」

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朝倉「本郷先生、

どうして桜庭の名前がシフト表から消えてるんですか？」

本郷「桜庭会長から、大事な一人息子を返却してほしいと言われたからな。

名前を書いて提出しろ。」

本郷が桜庭に渡すのは、麗子から預かっていた転科届だった。

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桜庭「えっ…。」

そこにはもう既に、本郷のサインと押印もしてあったのだ。

『桜庭くん…、』