瞳島眉美 ページ3
眉「Aちゃん」
貴『はい、なんですか?』
眉「もう一度、お礼を言わせてほしいの。
私の目を治してくれて、本当にありがとう」
貴『どういたしまして』
私は、今まで何度彼女に救われたのだろうか
彼女が隣にいてくれて、本当によかったと思う
彼女の一番にはなれなくても、私の中で、彼女は常に一番だった
貴『?眉美ちゃん?』
闇を溶かして染め込んだような黒髪に、その闇に輝く光のような金の瞳
時おり見える陶器のごとく白い肌は、女の私でもドキドキと胸を高鳴らせるほどで。
眉「Aちゃん、何処か行きたいところはある?美少年としてエスコートするわ」
貴『えっと…特には思い付きませんね』
眉「そう……あの、Aちゃん。」
貴『?』
眉「貴方のその包帯は、どうしてなのか聞いてもいいかしら?」
貴『ああ…両親によるものです』
一番、聞きたくなかった
彼女が強烈なドジッ子からどれだけ良かったか
彼女がとんでもなく不幸で、いつも階段を踏み外していたのならどれ程良かったか
貴『僕ね、眉美ちゃんが思うほど綺麗じゃありません』
『父親に、穢されているので』
一瞬、自分の耳を疑った
嘘であってほしかった
貴『全部、あの2人は最後まで愛だといい続けていました』
『兄さんとお婆様は違うと言っていましたが。
私は、愛は人それぞれだと思うのでそうなのだと思います。』
まるで、刷り込みだ
彼女は、いつもと変わらぬ笑みを浮かべたまま包帯の巻かれた腕を撫でた。
彼女は狂っている
狂わされたのだ、両親に
狂うほか、仕方がなかったんだ
暴力を愛と勘違いして、それを拾うしかなくて
拾って食べて、飲み込んだ
眉「Aちゃん、私と、少し勉強しましょうか。」
私が、ちゃんとした愛を教えてあげる
クズだし、ひねくれているけれど
眉「私が、愛しさを教えてあげる」
彼女の未来が、どうか明るいものであるように。
38人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ