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『こちらこそありがとう
気をつけて帰ってね、お大事に』
あの日のドンヒョクからのメッセージにどう返したら良いかも分からず数日が過ぎた。
明らかに元気がないAの様子を見て、何かがあったことを察するけど何も言わないジェミン。
ドンヒョクとA時間はあの日で止まったまま、夏休みはあっという間に過ぎていった。
9月、部活終わりにスマホに通知が来る。
××公式ファンサイトからの夏フェスについての案内だった。
「夏フェスじゃん、行けば良いのに」
ひょこっと隣に顔を出すジェミン。
同時にドンヒョクの顔を思い出す。
「…いいや、大会近いし」
これは本当のこと。
大会の翌週にはテストも待ち構えているしなかなかハードな月であることは確かだった。
それが、ドンヒョクを忘れるための口実だと言われてしまえば、それまでだけど。
「このままだとさ、A後悔するよ」
今まで口に出してこなかったジェミンの言葉に顔を上げる。
「ちゃんとドンヒョクにぶつかってみなって、まだ始まってもないのにさあ」
って口を尖らせるジェミン。
「ちゃんとぶつかるって、何」
「Aの心の中にあるモヤモヤをドンヒョクに伝えるの」
「そんなの、無理だよ」
「なんで？」
「だって、ドンヒョクくんは好きな子を忘れようとしてるんだよ、私そのことをドンヒョクくんの口から聞くなんて」
「え？何それ、俺知らないよ」
ジェミンの表情が強張る。
「言ってたもん、花火大会の日に電話で呼び出されて、綺麗なお姉さんと話してたもん」
あの日のことが脳裏に浮かび目がじわっと熱くなる。
ドンヒョクにメッセージを返さなかったあの時、自分の気持ちを正直に言えたら、なんて後悔している自分に、呆れる。
ジェミンに八つ当たりしてる自分がむかつく。
「泣かないでA、」
涙を止めようと目を擦る手を優しく掴むジェミン。
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作者名：ポックンミョン | 作成日時：2021年2月11日 8時
